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おひとり様シニアライフに準備しておきたいお金とは〜自宅の処分について〜

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人生100年時代と言われる近年、転ばぬ先の杖として老後の備えを整えておきたい所です。この終活コラムでは、おひとり様シニアライフで準備しておきたいお金について、シリーズ仕立てで紹介しています。

 

まず始めに、近年の厚生労働省による調査では、国内で58%の世帯、つまり過半数がの世帯が「高齢者のみ」あるいは「高齢者の一人暮らし」で生活を送っている状況が報告されています。このような傾向を知ると、現在は同居人がいる方にとっても、おひとり様で老後を迎える可能性を無視しておけません。

 

おひとり様シニアライフで起こりうるイベントの中から、今回のテーマは、自宅の処分ついて。実際に終活に関する調査結果(NPO法人ら・し・さによる調査)によると、「老後の住まいについて考えたことがありますか?」という問いに対して、

40歳代では、「はい、いいえの割合がおよそ半分」 の結果に対して
50歳代、60歳以上では、「”はい(考えている)”の回答が過半数以上

という結果が見られ、年齢が上がるに従ってシニアライフの住まい事情を意識する方が増えているようです。
いずれシニアライフを迎えてから悩むネタであれば、お金や時間の準備をしやすい早めの段階で備えておきたいものですね。

・施設や病院への入居、入院を考えており、自宅処分を考えたい
・自分の死後に空き家となるため、あらかじめ処分について決めておきたい

このような自宅の処分に当たって生じる手続きとお金についてご紹介いたします。
ちなみに、「おひとり様シニアライフのお金のはなし」について、併せて関連のテーマの記事は、こちらをご覧くださいね。

おひとり様シニアライフに準備しておきたいお金とは〜認知症のばあい〜

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自宅の処分に必要となる資金

それでは、自宅の処分に当たって必要となる資金について詳しく見ていきましょう。

1)荷物の処分に伴う費用: 3万円〜30万円以上

長年同じ場所に住んでいると、いざ引っ越してみる時に「こんなに物を持っていたなんて!」と荷物の量に驚かれることがしばしばあります。

また、高齢になってから自分で身の回りの荷物を全て移動するのは心身ともに大きな負担をきたします。部屋の片付けをきっかけに転倒して救急搬送されるケースも少なくありません。

自宅の処分に伴い、安全かつスピーディに荷物の処分を行うためには、プロの協力を得ることが賢い選択と言えるでしょう。

 

自宅の片付けを業者に依頼した場合の相場は、

1DK(2〜3人で4時間程度作業)で50,000~120,000円
4LDK(4〜10人で半日から15時間程度作業)で220,000~600,000円


荷物の処分を行う会社が一般的に公開している金額の相場は、この通りです。
しかしながら実際には、間取りのみならず
・荷物の量と作業時間
・お家の立地(処分場所との距離、片付けを行う建物まで車両が入れられるか)
・業者ならではの特徴(自前で処分まで一貫して行えるか、処分場へ持ち込む形式なのか)

このような各種条件によって処分費用が異なり、実際にはホームページ等で公開されている金額よりも上回ることが一般的です。
正確な金額は、実際に見積もりを依頼してから把握せざるを得ませんが、
まずは自分でできる片付けを行い、プロへ依頼する範囲を絞ることで費用を抑えられます。

・粗大品や処分しにくい物品以外は、自分でこまめに処分すること
・状態が良く市場価値がありそうな物品は、まず買取業者へ依頼すること

このように、処分と共に買取を依頼する選択肢もございます。
地域ごとに自宅へ赴いて買取対応を行う業者がありますので、まずはお調べください。

2)売却に掛かる仲介手数料:売却金額に比例

家を売却する際には、不動産会社に仲介を依頼することが一般的です。
不動産屋へ支払う仲介手数料は、売却金額の3%+消費税と決められており、売却金額が上がるほど手数料も上昇する仕組みです。
ただし仲介手数料を相場よりも低く設定している不動産会社も稀にありますので、必ずしも一律ではありません。

さらに印紙税や手続きの諸費用として15万円程度の費用を見ておきましょう。

3)税金・固定費・ローンなどの支払いについて

 

自宅を住まいとして所有し続けるには毎年「固定資産税」の納付義務が生じます。
同時に「火災保険料」や「管理費用」の支払いも引き続き発生します。

住宅ローンが残っている場合は、原則として、手元資金でローン残債を完済してからの売却となります。
ローン設定時に住宅には、抵当権が付いていますので、基本的にはローンを完済の上、抵当権が外れないと売却出来ないからです。
但し、手元資金が無い場合でも、売却金額からローン残債が完済出来る場合は、売却が可能です。
なおこの場合は、ローン残債金額に加えて繰り上げ返済手数料を支払う必要がございます。
また、売却時の仲介手数料や諸費用分も掛かるとお考えください。

さらに、おひとり様が生前に自宅を手放す際に注意しておきたいのが譲渡所得に対して掛かる税金問題です。
自宅を売却した場合の利益は譲渡所得として税金が課せられますが、一定金額までは「特別控除」を受けられる条件がございます。
この分野については、いくつかの条件をご説明する必要がありますので、また別のコラムにて取り上げさせていただきますね。

まず今回覚えていただきポイントは、

1)自宅を売却して得た譲渡所得は、課税対象となる可能性がある
2)住まなくなってから一定期間に売却しないと、控除が適用されない

という点です。
その家に住まなくなってから3年後の年末までに売らないと、課税の控除が受けられない制度となっています。「施設への入居を考えているが、思い出の場所として自宅を置いておきたい」と思われる方もあるかもしれません。しかしこの場合、施設へ入居してから(自宅に住まなくなってから)一定期間が過ぎてから売却すると、税金の控除が適用されなくなる可能性があることを併せてご検討ください。

4)自宅を取り壊す場合 : 規模に応じて100〜350万円

建物によっては手放す際に取り壊しを選択される場合もございます。
取り壊しに伴う費用も家の構造や規模に比例して変化しますが、

木造 の場合 1坪あたり4〜5万円
鉄骨造の場合 1坪あたり6〜7万円

これくらいの金額が相場と言われています。
但し、片付けを業者へ依頼する場合と同様に、立地や工事作業量によっても金額が大きく変動する分野です。
ブロック塀等の外構、浄化槽、古い物件の場合はアスベストなど、撤去に当たって追加費用が生じることも多々ございます。

取り壊しを検討されている場合は、予め見積もりだけでも依頼しておくと良いでしょう。

5)後見人の契約料 : 契約料10万円強 + 月額2〜5万円

ここまでの章では、ご本人が自分で手続きを行うことを前提として自宅の処分についてお伝えして参りました。しかしながら、突然認知症になったり、身体が不自由になってから自宅の処分と対峙するケースもございます。

自分自身で資産の管理ができなくなった場合の備えとしては、頼れる親族がいない場合は後見人を頼ることが一般的です。公的な契約を結んで、お金などの資産と同じく不動産の管理や処分も託しておくのです。実際に自分自身で不動産売却の対応ができなくなった際にも、取り決め通りに後見人が本人に代わって手続きなどに応対します。

 

公的な制度を介して後見人との契約を結ぶ費用の内訳を見ると、

・公正証書の作成 平均10万円(+登録料などの実費)
・任意後見人への報酬 月額1~3万円
・専門家への顧問料 月額2~5万円(専門家へ後見人を依頼する場合)

主にこのようなお金が掛かると言われています。

自宅の処分を託す後見人は慎重に選ぶ必要があると同時に、判断力がしっかりしているうちに自身の意思を伝えて、どのように自宅を手放す手続きを取ってもらうのか、第三者に意思を証明出来る状態で契約を交わしておくことが望ましいです。

 

自宅を手放す最適なタイミングとは?


住み慣れた住まいを手放すことは、抵抗を感じるかもしれません。
加えて、高齢になってからは賃貸契約を結びにくい懸念があるため、自宅処分は特に「いつ取り組むべきか」と悩まれる場合が多い問題です。

しかし、すぐに自宅を離れずともできる準備はございます。
実際に介護施設等への入居などで自宅を引き払うとなった時、費用と依頼先の計画が立っていたら慌てる心配はありません。
将来、自宅を引き払う際に「近くで依頼できる業者」と「そのための予算」の計画を立てていきましょう。

死後のトラブル回避のためにも、早めの備えを

 

今回のコラムでは、おひとり様シニアライフの自宅処分について、ご紹介してまいりました。

現在、右肩上がりで増えている空き家問題は、各地で注目を集めるテーマの一つ。長年放置されると倒壊のリスクが高まり、治安の観点からも空き家の増加は歓迎されるものではありません。このような放置問題を加速させないためにも、自治体では空き家は長年放置するほどに固定資産税が多く課せられるような条例も近年では導入され始めました。

 

おひとり様の方が亡くなった場合には、住民登録などの情報を元に6親等までの親族へ警察から連絡が行われるケースが一般的です。疎遠だった親族へ不意に相続や管理の責任を負わさないためにも、生前に自宅の処分について手続きを講じておくことが望ましいものですね。また、自宅の状態や処分のやり方によっては、売却したお金をシニアライフの資金として運用できる可能性もございます。

 

まずは、どの場所を終の住まいとして過ごしたいのか検討の上、身の回りの品々と共に、どのように整理していくかご検討くださいね。遺品の整理を託すことに伴う費用についても、終活コラムで順番にご紹介していく予定です。

 

投稿者プロフィール

大和泰子
大和泰子
一般社団法人 包括あんしん協会代表理事
株式会社 WishLane 代表取締役

【資格】
終活アドバイザー
CFP®(ファイナンシャルプランナー)
デジタル遺品アドバイザー®
高齢者住まいアドバイザー

家族に恵まれなかった幼少時代の不安と孤独を突破し、今は3世代同居でにぎやかに生活中。
一生涯のライフプランをサポートする中、独りで誰にも看取られず亡くなる顧客を何人か見送った時、幼少の頃の孤独と重なり「孤独で苦しむ人を減らしたい」と思ったのがきっかけで、おひとり様サポートを行う「一般社団法人包括あんしん協会」を設立。
5000人の保険コンサルティングの実務経験から、保険の「資金準備」だけでは足りないと実感。「お金」「心・身体」「人」のトータルサポートを目指している。実際におひとり様が病気や介護になった時、また死亡時のサポート業務を行なっている。おひとり様の終活準備の必要性を啓もうする為セミナー講師としても活躍中。

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