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おひとり様シニアライフに準備しておきたいお金とは〜お墓問題について〜

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人生100年時代と言われる近年、転ばぬ先の杖として老後の備えを整えておきたい所です。この終活コラムでは、おひとり様シニアライフで準備しておきたいお金について、シリーズ仕立てで紹介しています。

 

まず始めに、近年の厚生労働省による調査では、国内で58%の世帯、つまり過半数がの世帯が「高齢者のみ」あるいは「高齢者の一人暮らし」で生活を送っている状況が報告されています。このような傾向を知ると、現在は同居人がいる方にとっても、おひとり様で老後を迎える可能性を無視しておけません。

 

人生の最期を迎えるまでに起こり得るイベントに対して、おひとり様シニアライフで備えておきたい課題と資金について、コラムを通じて順番にお伝えしています。

今回のテーマは、年々多様化するお墓問題ついて。おひとり様の場合、死後誰かに納骨をお願いする準備も必要となりますね。お墓そのもののお金、管理や納骨に伴うお金、もしも備えができなかった場合の対応など、順番にご紹介いたします。

 

ちなみに、「おひとり様シニアライフのお金のはなし」について、関連のテーマはこちらをご覧ください。

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おひとり様がお墓の備えに掛かる資金

それでは、お墓の備えに必要となる資金について詳しく見ていきましょう。

 

1)お墓・納骨の費用 : 5万円〜約180万円


まず初めに、お墓そのものに掛かる費用を見ていきましょう。
生き方が多様化している近年ではお墓の遺し方においても複数の選択肢が用意されています。

 

近年、主に選ばれているお墓・納骨のスタイル別に費用を見ると、このような予算規模となっています。

・一般墓 177万円
・合同墓 3〜30万円 

・樹木葬    69万円
・納骨堂    88万円
・散骨  20〜30万円

 

一般層とは、旧来通りの墓石があって、その下に納骨する形式のお墓。
合同墓とは、一般的に血縁関係のない複数の契約者が合同で入るお墓のこと。納骨スペース自体を共有するか、墓石などのシンボルは共有しつつも納骨スペースを区分けするかなど、詳しいスタイルによっても予算が異なります。
樹木葬とは、樹木葬用に区画された雑木林の地面を掘って遺骨を納め、墓石の代わりに樹木を植えるもの。
納骨堂とは、主に屋内の納骨堂施設に遺骨を収蔵するもので、形式は「ロッカー式」「自働搬送式」など。
散骨とはその名の通り、火葬を行った後の遺骨を粉末状にして、海や山などに撒くことを指します。

 

おひとり様の場合、死後に墓守りをしてくれる親族が不在の場合が多いため、合同墓や樹木葬を選択されるケースが多く選ばれています。ちなみにお墓・納骨の形式ごとに掛かる費用に示す通り、価格の幅が非常に幅広い分野となっていることが分かります。また、合同墓、納骨堂や樹木葬の場合は納骨の後の管理費用も含まれる場合が一般的です。

 

おひとり様の場合は死後の納骨そのものを誰かに委託する必要がございます。この場合、納骨に掛かる費用は2〜5万円が相場と言われており、納骨堂などでは納骨の委託費用・管理代がトータルで費用に含まれている場合もございます。お墓を受け継ぐ人がいなくなっている場合が多い現代のお墓問題において、永代に渡って供養・管理してもらえる点を考慮しながら総合的な予算で判断されると良いでしょう。

 

2)墓じまいに伴う費用 : 10万円〜25万円程度

 

これまで自分自身が先祖の墓を管理してきたものの、当代限りで墓の管理を終えたい。そんな時には墓じまいの手続きを行います。墓じまいの費用は「今あるお墓の撤去費用」と「新しい納骨先に掛かる費用」の2種類に分けられます。新しい納骨先に掛かる費用については、先ほどご紹介した形式ごとの予算をご参考ください。

 

ここでは、今あるお墓の撤去費用を見ていきましょう。

墓石の撤去に必要なお金は、以下の通りです。

 

・撤去工事費 8〜15万円(墓地面積に比例)
・閉眼供養費 3〜10万円
・行政手続き 3,000円程度

 

ここで言う閉眼供養とは、お坊さんに墓前まで来てもらいお墓の魂を抜く供養を行ってもらうことを言います。最小金額では3万円程度で来ていただくことができますが、
・今までお世話になっていた御礼として多めに包む
・お車代として5000円程度上乗せ など、

お寺との関係性によっても予算が前後するようですね。

 

さらに、お墓を撤去して別の場所へ移すには、行政の手続きが必要となります。
・改葬許可証:墓を別の場所へ移すことを許可する書
・埋蔵証明書:遺骨を埋蔵していることを証明する書類
・受入許可証:遺骨の受入許可を証明する書類

 

このような書類を提出することとなり、それぞれに数百円~1,500円程度の発行費用が伴うため、合計3,000円程度の予算を見ておくと十分でしょう。

 

3)お墓や納骨の備えができなかった場合


最後に、身寄りとなる遺族がおらず、死後の納骨についての取り決めがなかったおひとり様の旅立ちは、どのように行われるのでしょうか?

 

この場合の遺骨は、自治体が一定期間管理する取り決めとなっています。
概ね5年程度保管された後、身寄りのない方の遺骨を合同埋葬する「無縁塚」に納骨されます。

この場合、複数の遺骨をまとめて埋葬するため、納骨後に遺族が現れても遺骨を取り出すことはできません。

 

死後の手続きと共に、一括で備えを

 

冒頭でもご紹介した通り、核家族の家庭が過半数となったいま、代々のお墓を守り継ぐことが困難なケースは社会問題の一つともなっています。その分、第三者に供養を任せられる選択肢が増えているとも言えることでしょう。

 

死後の手続きは自分自身でできないからこそ、取り決めを行っておくと誰かに心配を掛けることなく安心できますね。個人の死生観によっても様々な選択肢が用意されているお墓問題。終活のテーマの一つとして、頼れる機関や企業を探してみてはいかがでしょうか。

 

今回のコラムでは、おひとり様シニアライフのお墓問題について、ご紹介してまいりました。
死後の葬儀、行政手続きなどのテーマと合わせてご準備くださいませ。

 

投稿者プロフィール

大和泰子
大和泰子
一般社団法人 包括あんしん協会代表理事
株式会社 WishLane 代表取締役

【資格】
終活アドバイザー
CFP®(ファイナンシャルプランナー)
デジタル遺品アドバイザー®
高齢者住まいアドバイザー

家族に恵まれなかった幼少時代の不安と孤独を突破し、今は3世代同居でにぎやかに生活中。
一生涯のライフプランをサポートする中、独りで誰にも看取られず亡くなる顧客を何人か見送った時、幼少の頃の孤独と重なり「孤独で苦しむ人を減らしたい」と思ったのがきっかけで、おひとり様サポートを行う「一般社団法人包括あんしん協会」を設立。
5000人の保険コンサルティングの実務経験から、保険の「資金準備」だけでは足りないと実感。「お金」「心・身体」「人」のトータルサポートを目指している。実際におひとり様が病気や介護になった時、また死亡時のサポート業務を行なっている。おひとり様の終活準備の必要性を啓もうする為セミナー講師としても活躍中。
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