終活をお考えの方にとって、資金管理と今後の運用は大きな課題です。今ある資産を把握するだけでなく、使っているクレジットカードの整理も、終活で大切なポイントであることをご存知ですか?
資産管理の1つとして、早めにクレジットカードの整理をはじめましょう。なぜクレジットカードの整理が大切なのか、その理由と具体的な整理の手順をご紹介します。
クレジットカードの枚数を減らして管理しよう
クレジットカードは書面の申し込みや、何らかのお店での利用のときなど、意外と作るタイミングが多いものです。普段使っているクレジットカードが2~3枚でも、よく財布を調べてみると過去に作ったまま放置しているカードが入っていることがめずらしくありません。
クレジットカードの残債は相続人の負担になる
クレジットカードは、名義人が亡くなったとしても、実は請求が続きます。たとえば使っていなくても年会費が自動で口座から引き落とされることもあり、通帳を見てはじめて過去にクレジットカードを作っていたと思い出すなんてことも起こり得ます。
終活において、クレジットカードの枚数を把握し、いらないものは解約することは、ご遺族の負担軽減につながります。クレジットカードで自動引き落としになっているものは、やがて口座の残高がなくなれば書面などで通知が来ます。
支払いが遅れればその分延滞金も増えるなど、ご遺族の金銭的な負担につながるのです。だからこそ、終活では使わないカードを解約し、何の支払いにどのクレジットカードを使っているのか、把握することからはじめましょう。
ご自身が急病で支払い能力がなくなってしまうこともあれば、亡くなる可能性もあります。実はクレジットカードの支払いが残っている場合、残債として相続人が返済義務を負うことになってしまうのです。
さらにカードを解約するときに、残債があれば一括返済を求められてしまいます。クレジットカードの残債は借金の一種です。普段何気なくクレジットカードを使っている方ほど、今持っているカードを見直してコンパクトに整理しましょう。
終活でクレジットカードを整理する手順
終活でクレジットカードを整理する具体的な手順をご紹介します。クレジットカードの整理は、つい後回しにしていたり忘れたままになっていたりしがちです。
次の手順を意識して、早めに整理をはじめましょう。
今持っているクレジットカードを一か所に集める
まずは過去に作ったクレジットカード、今使っているカードもすべて集めましょう。
特に忘れがちなのが、特定の家電量販店、ホームセンターなどで商品を買ったときに、分割払いを使うために作ったクレジットカードです。このように1回のみの使用目的で作ったクレジットカードは、残債が終わるとそのまま忘れて保管した状態になっていることが多いです。
よく通帳を見てみると、年会費だけ何年も引き落とされていた…というケースもめずらしくありません。だからこそ、過去にクレジットカードを作った記憶があれば、まずは財布の中、金庫や過去に使っていた財布、封筒などを調べましょう。
今使用している預金通帳を集めて、見覚えのない引き落としがないか調べることも、クレジットカードの存在に気づくきっかけになります。
残すカードと解約するカードを決める
クレジットカードが集まったら、残したいカードと解約しても問題ないカードに分けましょう。クレジットカードは多くても3枚程度に留めると、資産管理しやすくお金の出入りがよくわかります。
解約する基準は毎月使っていないクレジットカードであれば、基本的に解約しても問題はありません。ポイントは同じクレジットカード会社ではなく、それぞれ異なる会社のところを選ぶこと。
たとえばよく使うクレジットカードがJCBなら、2枚目、3枚目はサブとして、VISAなどJCBが使えないお店でも使えるように、ほかの会社のところを選ぶと便利です。
引き落とし先でクレジットカードの種類を変更する
もし毎月3枚以上のクレジットカードを使っているときは、登録しているカードの種類を変えたり引き落とし先の口座を変更したりして、3枚以内におさめましょう。たとえば毎月利用しているサブスクリプションなら、1枚のクレジットカードに決めて引き落とすカードの番号を変えるだけでも、お金の出入りがわかりやすくなります。
3枚残すのなら、1枚は毎月引き落としが確定しているサブスクリプションやローン払い、もう1枚は食費などのよく使う生活費関連、そして3枚目は緊急時の予備として管理することをおすすめします。
また、カードで登録している引き落とし先の口座も、できるだけ1~2個に統一しておくと便利です。もし限度額に問題がなければ、クレジットカードは2枚まで減らしても問題ありません。
個人事業主の方なら、事業用のカードの管理も必要になるため、仕事やライフスタイルに合わせてクレジットカードの種類や枚数を柔軟に変えてください。
クレジットカードを解約する
クレジットカードの解約で注意したいのは、残高があると基本的に一括返済する必要があること。可能であれば貯金で一括支払いをして、そのまま解約しましょう。使わずにカードローンを返済するために契約しているクレジットカードは、年会費を支払うなどそのほかにも費用がかかっています。
すでにローンなどを支払い終わっているクレジットカードは、電話などで簡単に解約できます。すみやかに解約のうえ、必要なクレジットカードだけを手元に残しましょう。
まとめ
故人のクレジットカードに債務の残高が残っていたり、自動引き落とし設定になっていたりすると、相続人が支払うことになってしまいます。
また、解約の際には一括でローンの返済を求められるなど、ご遺族の金銭的な負担につながる可能性もあります。まずは今使っているクレジットカードだけでなく、保管しているカードも探して残すカード以外は解約手続きをしましょう。
そのうえで、引き落とし口座をできるだけ1~2個のコンパクトな状態にすると、さらに資産管理がやりやすくなります。クレジットカードの整理も終活で大切なポイントです。ぜひ早めにカードの整理をスタートしましょう。
投稿者プロフィール
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一般社団法人 包括あんしん協会代表理事
株式会社 WishLane 代表取締役
【資格】
終活アドバイザー
CFP®(ファイナンシャルプランナー)
デジタル遺品アドバイザー®
高齢者住まいアドバイザー
家族に恵まれなかった幼少時代の不安と孤独を突破し、今は3世代同居でにぎやかに生活中。
一生涯のライフプランをサポートする中、独りで誰にも看取られず亡くなる顧客を何人か見送った時、幼少の頃の孤独と重なり「孤独で苦しむ人を減らしたい」と思ったのがきっかけで、おひとり様サポートを行う「一般社団法人包括あんしん協会」を設立。
5000人の保険コンサルティングの実務経験から、保険の「資金準備」だけでは足りないと実感。「お金」「心・身体」「人」のトータルサポートを目指している。実際におひとり様が病気や介護になった時、また死亡時のサポート業務を行なっている。おひとり様の終活準備の必要性を啓もうする為セミナー講師としても活躍中。
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