終活 老後 認知症 財産

おひとりさまの老後リスクとは?今すぐはじめたい終活のポイント

更新日:

高齢の一人暮らしには気を付けたい老後リスクがいろいろとあります。
高齢になるとケガや病気の可能性が高まり、若い頃のように一人で生活することが難しいケースがあります。
突然の入院や手術、そして万が一亡くなった時も周囲に気づいてもらえない可能性も…。

だからこそ、普段からリスクに備えておくことが大切です。
この記事では、おひとりさまが知っておきたい老後リスクの種類と対策をご紹介します。

<生前編>おひとりさまが備えたい老後リスク

高齢になるほど、近くに頼れる人がいないことがリスクになってしまいます。
万が一の事態に備えて、周囲の人々のサポートが受けられるよう健康なうちに準備を進めましょう。
最初におひとりさまが知っておきたい、老後リスクの代表例をご紹介します。

入院や手術時の身元保証人がいない

突然の病気やケガで入院しなければならなくなった際、連帯保証人や緊急連絡先を求められることがほとんどです。

輸血や緊急性のある手術のときも、同意書にサインしてくれる親族がいなければ治療に影響が出ることもあります。

また手続きだけでなく、入院中の着替えや身の回りのものが必要になります。
おひとりさまでは、すぐに荷物を持ってきてもらうことも難しくなります。

いざという時、自宅に残されたペットのお世話をしてくれる人を事前に探しておくことや、病院の手続や身の回りのものを持ってきてもらえる親族や、頼れる知人に常日頃からお願いしておく準備をしておきましょう。

またエンディングノートや連絡先を記載したメモを外出時に常に携帯するように心がけましょう。

体調不良時の食事・家事の準備ができない

高齢になると、少しのケガや風邪などの体調不良でも体を動かすことが負担になります。
自宅療養中の食事の用意や、洗濯、掃除などの家事ができないことも、おひとりさまのリスクです。
十分に食事ができなければ病気の回復が遅れてしまう原因にもなります。そして本人は気づかないうちに認知症が進行しているケースもあり、そのせいで詐欺や犯罪に巻き込まれる可能性も高くなってしまうのです。

定期的な安否確認を利用したり、常にご近所や知人と連絡が取り合えるようにしておましょう。

入院・治療の費用の不安

おひとりさまは金銭的な管理もリスクの1つです。
たとえば入院や治療の費用などの多額なお金が必要になった際に、すぐ支払いができないケースがあります。
特に保険証を持っていなければ、退院時に健康保険が適用されず一旦高額な治療費を支払う結果になることもあります。その場合は退院後に健康保険を医療機関に持参して清算の手続きを行います。

そのような状況で頼れる家族や知人がいない場合は、家族に代わる人を事前に探しておくことが必要です。
おひとりさまの老後は認知症や意思能力の低下で、お金の管理が出来なくなるリスクを想定して、万が一の時の財産管理を依頼できる「任意後見人」を決めておくことをおすすめします。

<死後編>おひとりさまが備えたい老後リスク

おひとりさまの老後リスクは、生前だけでなく死後も気を付けたいことがあります。

希望するお墓に埋葬してもらえない

一般的には、葬儀と埋葬、遺品整理などの一連の死後の手続は、家族が行います。
しかし、独身の方や身寄りがいても疎遠になっている方は、生前のうちに死後の希望を伝えられない可能性があります。
身寄りがいない場合や、遺骨の引き取りを拒否された場合は、自治体が一定期間保管したあとに無縁塚に埋葬されることになります。

現在、自治体の多くは、この引き取り手のいない遺骨の保管場所がいっぱいになってきています。
たとえば葬儀の規模や、この墓に埋葬してほしいといった希望は、エンディングノートに記載し頼れる人を探して依頼しておきましょう。

相続手続きの不安

遺言書が無い場合は、死後に残った遺産を望む形で相続できない可能性があるため、生前に考えておかなければならない大切なことです。

遺族がいる場合、遺産が3000万円以下の場合の争いが一番多いというデータがあります。「うちはそんなに資産がないから大丈夫」と話す方の家族が意外と争いになっています。

また、身寄りが一切いない場合、残された財産は国庫に入ります。

国庫ではなく社会の為に役立つ、寄付をするという方法も検討してみてはいかがでしょうか。いずれも遺言書で意思を残しておくことが良いでしょう。

近年ではおひとりさまの死後手続き・葬儀埋葬の手続き等死後全ての財産管理をサポートしてもらう死後事務委任契約を利用する人が増えてきています。

遺品の処分や整理をしてもらえるか

家族がいれば、遺品の相続や整理、処分すべてを任せることができます。
おひとりさまの場合、遺品整理に役所は一切関係しません。

たとえば、賃貸の場合は大家さんや入所していた介護施設が勝手に処分できませんので、親族を探します。

引受してくれる親族がいない場合は、弁護士等を入れて公的な手続きを踏み、処分費用を大家さんや入所していた介護施設に負担してもらうケースなどもあり大変迷惑をかけます。

大切な自分の所有物を希望の形で整理してもらえないだけでなく、死後に経済的な負担をかけてしまい周囲に多大な迷惑をかけてしまう可能性があるのです。

おひとりさまの老後リスク対策

生前や死後に気を付けたい、おひとりさまの老後リスクをご紹介してきました。
これらの老後リスクを防ぐには、健康なうちに終活を進めておくことが大切です。

任意後見契約や遺言、死後事務委任契約などは、意思能力、判断能力が低下した状況では、契約を結ぶことが不可能となります。

入院に向けた準備や財産の管理、死後のことを決めて老後を穏やかに過ごしましょう。
また、遠方の一人暮らしの親がいる方も、おひとりさまの老後リスクを理解して、できる範囲の対策をしたいものです。
真っ先に取り組みたい、3つの老後リスクの対策をご紹介します。

常に入院の準備をしておく

入院や手術は、ある日突然起きるものです。
常に入院に必要な荷物を、わかりやすい場所に置いておくように意識しましょう。

  • 現金
  • 着替えや洗面器具
  • 親戚や知人の連絡先リスト
  • 入院用の口座(入院費用の支払いなど)
  • 健康保険証やお薬手帳

入院だけでなく、災害時にも役に立ちます。
また、自宅のスペアキーがあれば、親戚や友人から入院バッグを持ってきてもらうこともできます。

入院時専用の口座を用意することも検討しましょう。
常に入院や病気、ケガのための貯金として、もしもの費用を専用口座に入れておけば安心して治療に専念できるメリットがあります。

保険を見直す

おひとりさまの突然の病気やケガに備えて、保険内容を確認して必要があれば早めに見直しましょう。

契約時の保険料は年齢を重ねるごとに、保険料が高くなります。

また持病や入院歴があると加入できる種類が少なくなってしまいます。

令和元年の平均寿命は、男性が81.41歳、女性が87.45歳と発表されています。

出典:厚生労働省 令和元年簡易生命表

60歳で定年退職した場合、その後約30年にわたっておひとりさま生活が続く可能性は十分にあります。
年金だけでなく、健康なうちに将来のリスクをカバーする資金の準備や、保険を見直して万が一の資金不足に備えましょう。

ガン治療費や脳疾患による後遺症は、高額な治療費がかかります。

また最近では、認知症や介護になった場合の一時金を保険で準備できる商品がありますので、合わせて検討してみましょう。

死後の手続を頼んでおく

死後の葬儀やお墓、遺産、遺品の整理などの手続は、信頼できる人を探すか、専門家に頼んでおきましょう。
エンディングノートでお墓や葬儀のこと、連絡先など必要な情報をまとめると安心です。

長年連絡をとっておらず、老後に関わっていない兄弟や親戚に遺産を相続させる可能性があります。
もし身寄りが完全にいなければ、遺産はそのまま国のものになります。

自分が意図しない形で財産が継承されないよう、遺言書を作成しておくこと、また希望に応じて適切な死後全ての手続きを行ってくれる「死後事務委任契約」を専門業者に依頼しておきましょう。
賃貸契約の解除や、遺品、遺産の管理を本人に代わって行ってもらえます。

おわりに

おひとりさまの老後は、若い頃には想像していなかったようなリスクが潜んでいます。

最後の時まで自分らしく、希望する形で過ごせるよう健康なうちにしっかりとした準備が必要です。
老後リスクを知ったうえで、今すぐできることから少しずつ入院準備や遺産相続、お墓の手続などを進めていきましょう。

投稿者プロフィール

大和泰子
大和泰子
一般社団法人 包括あんしん協会代表理事
株式会社 WishLane 代表取締役

【資格】
終活アドバイザー
CFP®(ファイナンシャルプランナー)
デジタル遺品アドバイザー®
高齢者住まいアドバイザー

家族に恵まれなかった幼少時代の不安と孤独を突破し、今は3世代同居でにぎやかに生活中。
一生涯のライフプランをサポートする中、独りで誰にも看取られず亡くなる顧客を何人か見送った時、幼少の頃の孤独と重なり「孤独で苦しむ人を減らしたい」と思ったのがきっかけで、おひとり様サポートを行う「一般社団法人包括あんしん協会」を設立。
5000人の保険コンサルティングの実務経験から、保険の「資金準備」だけでは足りないと実感。「お金」「心・身体」「人」のトータルサポートを目指している。実際におひとり様が病気や介護になった時、また死亡時のサポート業務を行なっている。おひとり様の終活準備の必要性を啓もうする為セミナー講師としても活躍中。
お問い合わせ
セミナー案内
終活サービスのご案内

-終活, 老後, 認知症, 財産

Copyright© 包括あんしん協会 , 2024 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.