”残りの人生をより豊かに有意義に過ごすために”と、ポジティブな気持ちで取り組みたい50代からの終活。
まだまだ体力や判断力の衰えなく、現役で働いているからこそ、老後に向けた貯蓄計画も立てやすい。
完全に仕事を引退するセカンドライフまでの移行期間として、50代のうちから早めに終活に向き合っておくメリットがたくさんあることは、度々お伝えしてきたところです。
一方で、まだまだ仕事に従事していて、目の前に多忙な日常が続いているタイミングで「残りの人生、人生の終わり方」といった終活に向き合うのは、まだ現実感が薄く”もう少し歳を重ねてから、然るべきタイミングで考えよう”と、つい先延ばしになってしまうのも、無理ないことでしょう。
今回のコラムでは、介護&ゆる終活アドバイザーによる著書を参考に、50代からの終活を先延ばしにしないコツについてご紹介したいと思います。参考にしたのは、介護&ゆる終活アドバイザーあつこさんによる著書『50代から始める ゆる終活 もうひと花咲かせるための「3いま思考」』です。
終活を先延ばしにしない3いま思考
①「いままで」を考える
ここから先は、筆記用具を手元に、頭の中に思い付いた内容をノートに記して棚卸ししながら終活に取り組んでいただきたいところです。
そして、頭の中の棚卸しを行うにあたって、最初に考えたいテーマは『いままで』についてです。
働き方、親の介護、自分の体調面など、何かと人生のステージが変わる転換期になる50代。
目の前の課題に忙しく過ごしていると、「自分が心から望むもの」「残りの人生でやりたいこと」を考えようにも、唐突に自分の心の声を聞き取ろうとするのは難しいことなのかもしれません。
そこで、自分の望む残りの人生を分析するために、『3いま思考』のフレームを使って、最初に「いまままで」の人生を棚卸しして考えていきましょう。
こんな質問で自分自身のいままでを振り返ってみてください。
【質問1】あなたのこれまでの人生で思い出に残るエピソード、お世話になった人との思い出を振り返ると、年代別にどんな出来事が思い浮かびますか?
【質問2】今まで住んだ場所、訪れた都道府県、国、地域はどこですか?
【質問3】あなたの好きなものは何ですか?
幼少期、小学校〜中学生時代、高校生〜成人まで、成人〜今までというのように、年代別に振り返ってみると、ぽろぽろと思い出のエピソードが少しずつ蘇ってくるのではないでしょうか。
このように、記憶のなかで印象に残っている出来事の棚卸しを通じて「楽しかったこと」「嫌だったこと」を知ることの意義について、著者は
”介護や医療が必要になって、人のお世話になる時などに、好き嫌いは大事な情報です。どんな時でも好きな服を着たり、好きな音楽を聴いたりできれば、気持ちが少し軽くなるからです”
と語っています。
上手に人を頼ることができる終活のために「いままで」を振り返って、自分の内面を分析してみましょう。
②「いまから」を考える
さて、人生の「いままで」を振り返った次に来るのは、やはり人生の「いままで」についてですね。
斬新で画期的な試みではありませんが、ここは王道な方法で「やりたいことリスト」を作っていきましょう。
終活に取り組むにあたって王道な方法ですが、やりたいことリストづくりで、著者が進めるコツを取り入れてみてはいかがでしょうか?
ここで、リストを作ってみる時のコツは、100個のやりたいことリストを作ることをゴールに
1)25分で書くように制限時間を設けること
2)絶対に失敗しないと考えて書き出すこと(お金、場所、時間、方法など”どうせ無理、現実的じゃないから”と失敗することを考慮せず、まずは本心でやりたいことを書いてみること
3)小さいこと、ささいなこともリストに入れてOKとすること
4)書きやすい項目から、考えてみること(行きたい場所、食べたいもの、昔の夢でやり残したことなど)
そして、やりたいことリストの内容は、なるべく詳細に書き出していきましょう。
例えばコツ4つ目をもとに「〇〇温泉へ行きたい」と思い浮かんだならば、「箱根の高級旅館へ泊まって、この体験をして、どこどこで食べ歩きをして・・・」といった具合に、旅行のプランを立てるように希望を書き出してみてはいかがでしょうか。
きっとワクワクして、続々と候補地が浮かんできたり、やってみたいことが湧き上がってくることでしょう。楽しんで「いまから」を想像する時間にしてくださいね。
100個のやりたいことリストが完成したら、
◎やりたいことリストの優先順位を振り分ける
◎もし自分に介護が必要になった時、どのようにやりたいことリストと付き合えるかイメージしてみる
この2つを考える時間を設けてみてください。
「行きたい場所」のやりたいことリストは、介護が必要な身体になった時点で叶えることが難しいかもしれませんし、一方で「食べてみたいもの」は、介護を受けながらでも叶えられる可能性が高い場合もあるでしょう。「介護が必要になった時どう自分のやりたいことと折り合いをつけられるか」を想像する時間として使ってみてくださいね。
③「いますぐ」を考える
さて、終活を先延ばしにしない「3いま思考」のラストは、「いますぐ」です。
やりたいことリストを作り、介護が必要になった状態までイメージしていくと、自分の残りの時間における優先順位がだんだんと明瞭になってくるところでしょう。そこで、やりたいことを「いますぐ」=先延ばしにせず実現させられる環境づくりを進めたいところです。
いますぐを考え、行動へ移すために、
1)周囲にやりたいことを伝えて、情報発信すること
2)実行のスケジュールを立てること
3)やらないことを決めること
この3つのエッセンスを生活のなかに取り入れていきましょう。
「こんなことをやってみたい」「私はこれが好き」と公言・情報発信していると、おのずと有益な情報が自分に集まってくるものです。そして、口に出したことと行動を一致させたくなるのが人間の心理。”これを叶えます”と口に出したり、文章で発信してみることで、日々の行動が理想を叶えるものへ近づきます。友人や同僚との会話のなかで、やりたいこと宣言を話題に挙げてみはいかがでしょうか。
まとめ
終活を先延ばしにしないための「3いま思考」としてご紹介した、いままで、いまから、いますぐの3要素。
とても珍しい切り口ではなく、受験の進路選び、就職活動や転職の際などに、誰もが一度は取り組んでみた思考方法かもしれませんね。「残りの人生をどう有意義に生きるか」と、壮大にも思えるテーマに向き合う際も、考え方は同じです。次のライフステージを考える上で、自己分析をして、ワクワクする道を進んでいくこと。一度つくったやりたいことリストも、55歳、59歳、65歳・・・と”状況が変わるごとに、また考え直せば良し”と軽い気持ちで、取り組んでいきましょう!
貯蓄の計画や、持ち物の断捨離など、心の中を整理することで、モノやお金の終活計画を進める原動力にもなりますね。
この考え方について、より詳しく向き合いたい方は、参考著書を読んでみてください。
50代から始める「ゆる終活」もうひと花咲かせるための「3いま思考」: なぜあの人はいくつになってもイキイキしているのか (そら文庫)
投稿者プロフィール
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一般社団法人 包括あんしん協会代表理事
株式会社 WishLane 代表取締役
【資格】
終活アドバイザー
CFP®(ファイナンシャルプランナー)
デジタル遺品アドバイザー®
高齢者住まいアドバイザー
家族に恵まれなかった幼少時代の不安と孤独を突破し、今は3世代同居でにぎやかに生活中。
一生涯のライフプランをサポートする中、独りで誰にも看取られず亡くなる顧客を何人か見送った時、幼少の頃の孤独と重なり「孤独で苦しむ人を減らしたい」と思ったのがきっかけで、おひとり様サポートを行う「一般社団法人包括あんしん協会」を設立。
5000人の保険コンサルティングの実務経験から、保険の「資金準備」だけでは足りないと実感。「お金」「心・身体」「人」のトータルサポートを目指している。実際におひとり様が病気や介護になった時、また死亡時のサポート業務を行なっている。おひとり様の終活準備の必要性を啓もうする為セミナー講師としても活躍中。
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