「50代からの終活」と題して、シニアライフへの備えに役立つ情報をお届けしている連載ですが、今回は「葬儀の生前契約」をテーマにご紹介したいと思います。
”もしもの時”に備える、生前契約
従来であれば、家族が亡くなったあとに残された家族が行ってきた葬儀に関する手続きについて。残された家族が葬儀社へ連絡をとって、手続きを行うことが一般的な流れでした。
しかしながら、こちらのコラムをご覧になる方ならば恐らく実感されている通り、「おひとり様で暮らすこと」や「高齢の夫婦ふたり暮らし」が珍しくないライフスタイルになって久しい時代です。「生きている間に死後の手続きについてまとめて契約をしておけるサービス」が拡充されているこの頃、終活の一貫でご検討いただければと思います。
こんな方におすすめのサービス
「親族はいるが、ほとんど疎遠になっているため、いずれ自分が死去するときに迷惑をかけたくない」
「子どもがいないため、夫婦どちらかが亡くなった時に予め備えておいて、”もしものとき”の負担を軽減したい」
「おひとり様で暮らしてきて、大変な手続きを頼めるような身寄りがいない。迷惑をかけたくないので、自身の最期に備えて準備しておきたい」
葬儀や死去に伴う事務手続きの生前契約サービスは、このようなお悩みに寄り添う形で提供されています。
葬儀の生前契約にまつわる歴史
生きている間に葬儀の契約を済ませておく「生前予約」は、今から約100年前、アメリカの葬儀社が「プレニード」というサービスを始めたことが始まりと言われています。合理性を求めたアメリカの文化のなかで、”生きているうちに自身の葬儀の内容や費用を把握して、段取りできる”といった点が注目されて、1910年代から葬儀を生前契約する人が増えていったと言われているのです。
一方、長らく「死について話すのは禁忌」とされる文化があった日本において、葬儀の生前契約サービスが提供されるようになったのは1990年代以降のこと。近年では「終活」という概念が一般化し、より豊かに生きるために、死と向き合うことが前向きに捉えられるようになってきた背景もあり、もしもの時に備えて生前契約を検討する方も増えていると言われています。
生前契約で気をつけたいポイント
葬儀の生前契約には「生前に手続きから予算感まで、予め把握しておける」といったメリットがある一方で、契約に際して注意したいポイントもございます。
例えば、
・「信頼性」どんな企業に依頼するか
・「更新性」契約内容は更新できるか
といった2点は、特にじっくり見定めて選びたいポイントです。
生前契約と「信頼性」について
”もしもの時”が実際にいつ訪れるかは、誰にも分からない事柄です。一方で、企業の平均存続年数は、年々短くなっている昨今「永続性が認められる企業(サービス)であるか」「もしも企業が倒産した場合の保証や代替サービスは望めるか」といった内容を確認の上、どの会社と生前契約を締結するか、信頼性は慎重に検討したいポイントです。
生前契約と「更新性」について
信頼性に加えて確認しておきたいのが、契約内容が必要に応じて変更できる「更新性」について。葬儀の内容を話し合って契約をしても、実際の葬儀の方法が世の中の流れとともに変化する場合もございます。例えばここ数年、新型コロナウイルスの蔓延に伴ってミニマムな葬儀が主流になったことも、時流による葬儀のスタイルの変化と言えるでしょう。このように、時代に沿った形、家族の在り方に沿った形で契約内容をその都度に更新できるサービスであるか、予め「更新性」ついても確認しておきたいポイントです。
自身の終活にも、ご家族の終活にも
葬儀を生前契約することのメリットや、契約にあたっての注意点についてご理解いただけましたか?
そして、葬儀とは「残された人のために行うもの」「生きている人が故人とお別れするための機会」と捉える価値観もございます。
よって、親やパートナーなど関係性の近しい方が身近にいる場合は、身近な方達と一緒に葬儀について話し合っておくことが望ましいでしょう。希望する葬儀の在り方を相談するのは、親御さんの終活においても避けて通れないテーマです。
お住まいの地域にある葬儀社において、信頼できるサービスがあるか調べてみてくださいね。
投稿者プロフィール
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一般社団法人 包括あんしん協会理事
株式会社 WISHLANE 取締役
【資格】
ファイナンシャルプランナー
終活アドバイザー
高齢者住まいアドバイザー
デジタル遺品アドバイザー
お金だけでは解決できない想いを叶え、生きた証を後世へ橋渡しするためのあなた人生のスパイスとして一生涯サポートしています。
約5000人の保険コンサルティング実務経験から
「お金、心、身体」のトータルサポートが必然。
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