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おひとり様シニアライフに準備しておきたいお金とは〜自宅の売却と税金について〜

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人生100年時代と言われる近年、転ばぬ先の杖として老後の備えを整えておきたい所です。この終活コラムでは、おひとり様シニアライフで準備しておきたいお金について、シリーズ仕立てで紹介しています。
まず始めに、近年の厚生労働省による調査では、国内で58%の世帯、つまり過半数がの世帯が「高齢者のみ」あるいは「高齢者の一人暮らし」で生活を送っている状況が報告されています。このような傾向を知ると、現在は同居人がいる方にとっても、おひとり様で老後を迎える可能性を無視しておけません。

人生の最期を迎えるまでに起こり得るイベントに対して、おひとり様シニアライフで備えておきたい課題と資金について、コラムを通じて順番にお伝えしています。

今回のテーマは、終活の一貫で自宅を売却した際に生じる税金問題について。施設や病院などの入居に備えて自宅を手放す際にも様々な手続きと資金が必要となります。このような自宅を手放す際に必要となる資金の全体像については、以前のコラムでもご紹介させていただきました。

 

こちらのテーマに関連して、今回は自宅売却に伴う「税金」に注目してご紹介いたします。
各種条件によって課せられる税金が変動する部分がありますので、予めご確認の上、ご準備くださいね。
ちなみに、下記のリンクでは「おひとり様シニアライフのお金のはなし」について、他にも関連のテーマを紹介しています。

おひとり様シニアライフに準備しておきたいお金とは〜認知症のばあい〜

おひとり様シニアライフに準備しておきたいお金とは〜病気・怪我のばあい〜

おひとり様シニアライフに準備しておきたいお金とは〜お墓問題について〜

おひとり様シニアライフに準備しておきたいお金とは〜遺品の整理について〜

おひとり様シニアライフに準備しておきたいお金とは〜葬儀について〜

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おひとり様シニアライフに準備しておきたいお金とは〜自宅の処分について〜

おひとり様シニアライフに準備しておきたいお金とは〜価値のありそうな物の売却〜

自宅を売却した際に掛かる譲渡所得

まずはじめに「譲渡所得」とは「家を売った時の利益」のことを言います。

この譲渡所得に対しては「所得税」「住民税」「復興特別消費税」の税金が課せられます。

しかし、初めに結論から申し上げると自宅を売却した場合においては、上記3種の税金については、ほとんどの方が控除対象、すなわち「支払いの必要がない」と判断されることかと思います。なぜ概ねの場合はこのような税金が課せられないのでしょうか。次の章から詳しくご紹介します。

なぜ譲渡所得への各種税金が控除されるのか

譲渡所得に対する所得税、住民税、復興特別消費税は「家を売った時の利益」に課せられる税金です。つまり、一定額以上の利益が出なかった場合には、これら3つの税金は控除される(差し引かれる)制度となっているのです。

具体的には下記のような条件において、譲渡所得に対する課税が控除されます。

・購入した価格よりも安くで自宅を売った場合
・譲渡所得が3,000万円以下の場合
・住み替えのために家を売却した場合

ちなみに譲渡所得についての考え方ですが、譲渡所得とは譲渡価格から各種費用を差し引いて計算される仕組みとなっています。そのため一般的に自宅を売却した場合において「3000万円以上の譲渡所得が発生する」かつ「購入価格よりも高くで自宅が売れる」というケースは概ねないものと考えられるからです。このような仕組みによって「自宅売却では概ねの場合、所得税、住民税、復興特別所得税は課せられない」とご理解ください。

3000円万円特別控除について

譲渡所得について、所得税、住民税、復興特別消費税が課せられる制度について。自宅を売却した際、概ねの場合はこのような各種税金が「控除を受けられる」と言うことをお伝えいたしました。

この特例を受けた場合、譲渡所得に掛かる税金は

税額=(譲渡所得ー3000万円)×税率

の公式で計算されます。

自宅の売却において、多くの場合は3000万円を上回るほどの譲渡所得が発生することはございません。そのため、譲渡所得に対する税金は、ほとんどの場合は控除されると想定できるのです。

 

しかしながら、ここで一点、3000万円の特別控除を受けるためには一定の条件を満たす必要がある点についてご理解ください。具体的には、

自宅に住まなくなってから3年以内に売ること
自宅を売るまでにその他の土地を利用して不動産収入を得ていないこと
売った年から3年前までに、この特例による控除を受けていないこと
自宅の売り手と買い手が親子など親族関係でないこと

このような条件下で自宅を売却した場合に、3000万円の特別控除を受けられる制度となっています。ちなみに、そもそも「税制上、どの程度の譲渡所得が生じるか分からないので計算したい」と言う方は、次からの章を詳しくご覧くださいね。

 

譲渡所得を計算したい場合

譲渡所得は、次の式で計算できます。

譲渡所得=譲渡価格-(取得費用+譲渡費用)

公式に登場する各項目については、下記の通りです。

1)譲渡価格とは

譲渡価格とは、家の売却価格を指します。つまり、土地や建物の売却で得られる収入金額です。厳密には「固定資産税の精算金」も譲渡価格に含まれることとなっています。固定資産税は1月1日時点の所有者に請求されるため、売却以降の固定資産税に相当する金額を一緒に精算するためとお考えください。

2)取得費とは

次に取得費とは、不動産を得るために掛かった費用を指します。土地・建物の購入代金及び購入手数料、その後にリフォーム等を行なった場合には、設備費と改良費を加えた合計金額が含まれます。

 

具体的な内容としては、

・不動産の購入や建築代金
・取得時に払った仲介手数料
・契約書の印紙税
・登記費用
・不動産取得税
・測量費、土地の造成費

このような項目が挙げられます。

 

3)譲渡費用とは

譲渡費用とは名前の通り、物件を売るために掛かった費用です。

・売却時に払った仲介手数料
・契約時の印紙税
・建物の取り壊し費用
・売却時に支払った立退料(借主がいた場合)

このような項目が主な譲渡費用として挙げられます。つまり、売却によって得られた金額がそのまま「譲渡所得」と計上されるのではありません。

買った時の取得費、売った時の譲渡費用が売上から差し引かれて、それでも3000万円以上の利益が残る自宅の売却。このようなケースは非常に稀であることが、想像いただけるのではないでしょうか。

譲渡所得に掛かる税の計算方法

譲渡所得に掛かる対しては、決められた税率をかけることで計算できます。

譲渡所得に掛かる税 = 譲渡所得×税率

この際、自宅の所有期間の長さによっても税率が変動します。具体的には、売却した年の1月1日時点での所有期間によって判断され、

短期譲渡所得:所有期間が5年以下(税率39.63%)
長期譲渡所得:所有期間が5年を超える(20.315%)

こちらの期間によって、異なる税率が設定されています。税率の詳しい内訳(所得税、住民税、復興所得税がそれぞれ何割か)についてはここでは割愛いたします。「自分の場合は特別控除が受けられず、譲渡所得が発生しそう」と言う方は、「譲渡所得の税率」などで調べてみてくださいね。長期・短期の条件別で譲渡所得額によって発生する税金の目安表が各種不動産関係サイトで紹介されています。

 

今から考えたい、終活における自宅の処分

冒頭でご紹介した通り、譲渡所得に対する税金は所定の条件を満たせば控除される制度です。

しかしながら、3000万円の特別控除を受けるには「一定の条件を満たす必要がある」と言う点もご紹介いたしました。

つまり、避けたい事態として「自宅を所有したまま施設へ入居して、空き家の自宅を何年も抱えることになってしまった」と言うようなケースが考えられるのではないでしょうか。

年々空き家が増加する社会問題に対して、国はなるべく空き家を出さないための制度を拡充させています。そのため、施設などに入居して空き家にしたまま自宅を放置していると、本来受けられたはずの税金の控除などの適応外となってしまう可能性があるのです。

認知症や意志能力が低下した状態で施設入所になった場合は、自宅の売却が出来ません。自宅売却資金がないと施設入居金が不足して入居出来ないという事態になります。そのような事を避ける方法として、元気なうちに、契約行為を託せる信頼できる人と任意後見契約書を作成しておくといいでしょう。

おひとり様シニアライフで自宅を所有する場合、いずれ待ち受ける自宅の処分について。このような税制がある点も考慮した上で、どのようなタイミングで自宅を手放すべきかご検討くださいね。

今回のコラムでは、自宅を売却する際の税金ついて、ご紹介してまいりました。
さて、税金に限らず自宅の売却において発生する全体的なお金の話については、こちらの記事を合わせてご覧くださいね。
おひとり様シニアライフに準備しておきたいお金とは〜自宅の処分について〜

 

投稿者プロフィール

大和泰子
大和泰子
一般社団法人 包括あんしん協会代表理事
株式会社 WishLane 代表取締役

【資格】
終活アドバイザー
CFP®(ファイナンシャルプランナー)
デジタル遺品アドバイザー®
高齢者住まいアドバイザー

家族に恵まれなかった幼少時代の不安と孤独を突破し、今は3世代同居でにぎやかに生活中。
一生涯のライフプランをサポートする中、独りで誰にも看取られず亡くなる顧客を何人か見送った時、幼少の頃の孤独と重なり「孤独で苦しむ人を減らしたい」と思ったのがきっかけで、おひとり様サポートを行う「一般社団法人包括あんしん協会」を設立。
5000人の保険コンサルティングの実務経験から、保険の「資金準備」だけでは足りないと実感。「お金」「心・身体」「人」のトータルサポートを目指している。実際におひとり様が病気や介護になった時、また死亡時のサポート業務を行なっている。おひとり様の終活準備の必要性を啓もうする為セミナー講師としても活躍中。

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