「50代からの終活」と題して、老後の備えに役立つ話題をお届けしているコラム。今回は、夫婦間での相続にまつわる準備について、情報をお伝えしたいと思います。
夫婦間での相続に備えるステップ
夫婦間での相続を考えたとき、どのような手順で準備を進めていったら良いのでしょうか?
その答えは「情報の見える化」から。まずは、夫婦がそれぞれに持つ財産について現況を洗い出して、情報を共有するところから準備を始めましょう。
1)財産情報の共有を
夫婦共働きが珍しくないこの頃、夫婦それぞれが、どこにどれだけの資産を持っているか共有されていない夫婦も一般的なもの。
老後に備えて50代から終活を始める際、まずはお互いの財産情報を一覧表で書き出してみるところから始めましょう。
2)預金口座の数を絞って断捨離を
現役時代は「給与振込用、ローン用、生活費用、貯蓄用・・・」と複数の口座を所有するケースも一般的ですが、この場合、どちらかが他界した際に財産の整理や手続きが煩雑となってしまいます。
相続に備えるためにも、終活の一貫として預金口座の数を絞りましょう。シニアライフにおいては、年金用口座と光熱費用口座の2つ程度に絞っても良いでしょう。さらに、定期預金や金融商品は認知症になった場合、本人が解約することが困難になるリスクをはらんでいます。
・金融商品をこのまま持ち続けるか否か
・持ち続ける金融商品について登録情報は定かであるか
を予め確認しておきましょう。
3)子どもへの相続について話し合う
現状で持っている資産について整理した後は、相続の希望について夫婦で意見をまとめるステップです。子どもの有無によって法廷相続人は定義が異なり、子どものいない夫婦の場合は、親や兄弟姉妹、甥姪が相続人となる可能性も。
さらに最近では、子どもがいる夫婦においても「必ずしも子どもへの相続を希望しない」といった夫婦の形も増えつつあるようです。
核家族化が進むなか、子どもが親と同居するケースも減り「面倒を見てくれた子どもへ遺産を残さないといけない」「先祖代々の家を守るために子どもへ相続しなければならない」といった意識も希薄になってきた傾向があるからです。
よって、遺言書に「全財産を配偶者へ相続したい」と明記する夫婦も少なくありません。子どもには遺留分を請求する権利がありますが、こちらも生前に希望を伝えたり意図を説明しておくと良いでしょう。
4)専門機関での手続きを
さて、夫婦間で財産の状況と今後の意思が明らかになったならば、意思を汲んだ相続が実行されるように手続きを行いましょう。
この場合、弁護士や司法書士事務所へ依頼して、遺言書として相続に関する意向を明記してもらうことが最も有効な方法です。
ちなみに、夫婦二人が同じ書面で遺言書を作成した場合、その遺言書は無効になってしまいます。何故なら「遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない」
と定められているため。
このように遺言書には作成方法や管理(開封)などにもルールが定められているため、正しい様式で効力のある公正証書の作成をプロへ依頼しておくと確実でしょう。
夫婦で互いに遺言を掛け合って、配偶者が死亡した場合においても残されたパートナーが生活に困ることのないよう、確かな判断が行えるうちに手続きを済まされることをご提案します。
なお、財産情報の現状を確認したり、相続にあたって意見を取りまとめる際に第三者が介入した方が作業がスムーズに進む場合もございます。当事者だけの問題で抱えていると「いつかやろう」と思いつつ先延ばしにしてしまう可能性も。夫婦間の相続に向けても、専門家のちからを借りつつ無理のない相続を始めてみてくださいね。
投稿者プロフィール
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一般社団法人 包括あんしん協会理事
株式会社 WISHLANE 取締役
【資格】
ファイナンシャルプランナー
終活アドバイザー
高齢者住まいアドバイザー
デジタル遺品アドバイザー
お金だけでは解決できない想いを叶え、生きた証を後世へ橋渡しするためのあなた人生のスパイスとして一生涯サポートしています。
約5000人の保険コンサルティング実務経験から
「お金、心、身体」のトータルサポートが必然。
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