【中編】シニアライフに備えたリフォームのポイント

更新日：2022年3月18日

数回にわたって「老後に備えたリフォーム」をテーマに取り上げている、50代からの終活シリーズ。今回のコラムでは、とくに冬場になると耳にする機会も多い「ヒートショック対策」に焦点を絞ったリフォームのポイントをご紹介します。

ヒートショックとは、温度の急激な変化によって血圧が急激に上下し、血管や心臓に負担がかかる状態のことを言います。

血圧が乱高下することによって、脳内出血や大動脈解離、心筋梗塞、脳梗塞などの疾患を引き起こすことをヒートショックと言い、年間を通じて、交通事故による死亡者数をはるかに上回る人数がヒートショックによって亡くなっていると言われてます。

例えば

１）暖かい室内で過ごしたのちに
２）寒い脱衣所で服を脱いで
３）さらに寒い浴室で体を洗って
４）熱いお風呂へ入浴

といった、よくある冬場の一時も、ヒートショックを招きやすい代表的な一例です。なぜなら、10℃以上の温度差がある場所は特にヒートショックを引き起こしやすい危険な環境とされているからです。

このようにヒートショックを引き起こす要因にもなり得ることから、住居を建てる際に「ある一定以上の室温が保たれるような家づくり」が義務化されている国もあるほど。しかしながら従来の日本の家づくりは「夏の暑さを逃すこと」に重きが置かれてきた側面もあり、冬場の温度差への配慮が行き届いているとは言い難い状況でしょう。

年齢を重ねるとともにヒートショックの影響を受けやすいことは科学的にも証明されているなか、リフォームにおいて「部屋ごとの温度差」の見直しは軽視できないポイントですね！

ヒートショックを防ぐリフォームのポイント

１）外からの冷気を防ぐ断熱材でのリフォーム

冬場の室温管理で重要となるのは、まず外からの冷気が入りにくい家づくりです。そこで、天井、壁、床など、お家が外と接する面に断熱材を敷きつめることで、外からの冷気の侵入を防ぐ効果が期待できます。そして冷えにくい家とは、夏場に熱しにくい家でもあるということ。夏場の室内の暑さを防ぐためにも、近年に建てられた家では断熱材の施工への配慮は高まっています。

今までの断熱材を見直したり、新しく導入する場合は、「浴室とトイレ」など、常に人がいる訳ではないので寒くなりがちな部屋へ集中的に断熱材リフォームを行う選択肢もあるでしょう。断熱材リフォームの費用は、4千～3万円/㎡が相場とされています。

２）暖かい空気を逃さない二重窓へ

つぎに配慮したいのは、せっかく温めた空気を外に逃しにくい家づくりです。一般的に連想されるとおり、内窓を追加するような二重窓構造にすることも、効果大。また、断熱性能を持つガラスに交換するといった選択肢もございます。

費用の相場でみると、

内窓を後付けする場合は、8～15万円/箇所
断熱ガラスに交換する場合は、5～15万円/箇所

が相場と言われています。「今ある窓の内側に内窓を設置する方法」の方が比較的簡単に工事ができて、その分、費用も低めになるようですね。

３）浴室暖房を設置する

ヒートショックは温度差が原因となるため、特に発生場所の代表になりやすいのがお風呂場です。そして、ヒートショック問題に加えて「冬場の洗濯物が乾かない問題」を解決するためにも、浴室暖房を設置するのは人気が高いリフォームです。

浴室暖房の設置費用は、設備の仕様に応じて10万円～40万円と幅が広いようですね。お風呂のお湯を貯めるときに脱衣所の暖房を稼働させ、十分に部屋が温まった状態で服を脱げる環境を作っておけば、ヒートショックの予防に直結します。

いままでストーブを使っていたご家庭でも「脱衣所で使っていたストーブから出火」といった火事を避けるため、リフォームの機会にエアコン設備を導入されることもあるようです。

住まいと習慣の両輪での対策を！

リフォームの他にすぐにできるヒートショック対策としては、

・脱衣所と浴室をあらかじめ暖房器具で温めてから入浴する
・掛け湯などで、手足を温めてから少しずつ入浴する
・食後すぐの入浴は避ける
・トイレは人感センサー付き暖房で、その都度温められる環境をつくる

このように、血圧の乱高下を防ぐ習慣づくりも大切です。
健やかに過ごせるシニアライフのため、住まいのリフォームと合わせて取り入れていきたいですね。

投稿者プロフィール

土屋福美子

一般社団法人包括あんしん協会理事
株式会社 WISHLANE 取締役

【資格】
ファイナンシャルプランナー
終活アドバイザー
高齢者住まいアドバイザー
デジタル遺品アドバイザー

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【中編】シニアライフに備えた リフォームのポイント

１）暖かい室内で過ごしたのちに ２）寒い脱衣所で服を脱いで ３）さらに寒い浴室で体を洗って ４）熱いお風呂へ入浴