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財産が少ない家族に『争続』は無縁? 遺産が少なくても揉める相続のリアル

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「うちには、争うほどの財産がないから、相続トラブルなんて無縁〜」と言う声をしばしば耳にするところですが、裁判所に持ち込まれる相続トラブルのうち、約3割は”相続財産額1000万円以下”で発生している事実については、これまでの終活コラムのシリーズでも何度かお伝えしてきたところです。

そんな「意外と身近に起こりうる相続トラブル」について、より実感を伴って備えていただくために、今回のコラム記事では、実際に起こる「争続のきっかけ」について事例をもとにご紹介したいと思います。あまり楽しい話題ではありませんが、「揉めるきっかけ」の事例をご覧になって心当たりを感じるところがあれば、終活の参考にしていただければ幸いです。

遺族が相続で揉める”きっかけ”あるある

繰り返しになりますが、相続争いとは、巨額の財産を相続する資産家の間だけで発生しているものではありません。いわゆる普通のご家族でも発生する相続争いのきっかけあるあるは、例えばこんなケースたち。

・葬儀に掛かった費用は誰が負担するか?
・親の生前に介護を頑張ったのは自分なのに、遺産の割合が少ない!
・今まで散々な付き合いをしてきた親族には、遺産を分割したくない
・相続人が多すぎて話がまとまらない
・たくさん教育費を掛けてもらった兄弟と、同じ金額で遺産を分けるのは不公平だ!

こんな事例を眺めていると、だんだんと「我が家にとっても無縁の問題じゃないかもしれない・・・」と親近感が湧いてくるところではないでしょうか。

この例を見て分かるとおり、多くの場合トラブルの元凶となるのは金額の大小に関わらず「どう遺産を分けるかの割合」といったところです。なぜなら、相続には”法定相続分”といった分配の目安こそ定められているものの、相続人全員で遺産の分け方を話し合う手続き「分割協議」によって最終的に決定するものと定義されているからです。

故人が遺言書を残している場合は原則として、遺言書の通りに遺産分割を行う規定です。しかし、分配の根拠となる遺言書がない場合は、相続人全員の協議を要します。

 

遺産分割をしなかった場合のリスク

遺産分割協議に参加することになる相続人としては、下記のような人が関係してきます。

・亡くなった人の配偶者
・亡くなった人の子ども
・亡くなった人の孫
・亡くなった人の兄弟姉妹
・亡くなった人の姪っ子、甥っ子

このような関係者全員に対して、すぐに連絡が取れるほどの付き合いをしている親族ばかりでは無いことでしょう。相続に取り組むにあたっては、そもそも「関係する相続人を把握して連絡する」という段階から、手間取ってしまうケースも珍しくありません。

一方、関係性が希薄だからといって、遺産分割協議をうやむやに相続を進めたり、相続との対峙を先延ばしにしていると、

遺産分割協議を怠るとー・・・
・共有状態の遺産は活用しづらく塩漬け状態に
・相続税に関する控除を受けられない損失にも
・一部の相続人が遺産を使い込んでしまうトラブルに発展するかも!?

このように、更なる相続トラブルに発展する恐れもございます。

争続回避のための対策3ステップ

1)まずは財産情報の一元化を

もしご自身の遺産を相続するための備えに取り組みたい時は、自分が把握している資産について「必要書類にアクセスするための情報」をノートなど、一箇所にまとめていきましょう。

しっかりと終活に取り組みたいからといって、生前から戸籍謄本や財産目録、土地の権利書などの必要書類を一箇所に集めて保管する方がありますが、もしも盗難被害に遭ったりすると大損害! しっかり終活に備えたい気持ちは素晴らしいことですが、リスクが大きすぎる対策です。

どんな財産があるか把握する目録、オンライン上で管理している株や証券についてはアカウントのログイン情報など、財産の存在にたどり着くための情報を一元化しておく対策で十分です。ちなみにログイン情報は、IDとパスワードを別の場所に残しておくなど、泥棒が入っても流出しない配慮を施しましょう。

2)相続の対象となる親族をリストアップ

次に、いざ遺産分割協議が必要になったときに連絡が取れる環境を整えましょう。あなたの遺産の相続対象となる親族は、どこに何人いますか?家系図を書いてみて、関係者をリストアップしていきましょう。親戚付き合いが乏しく自分で関係者を把握しかねる場合は、弁護士や行政書士など専門家を頼って、相続対象人を調査する方法もございます。

3)生前贈与について考えてみる

ご自身の財産を把握して、遺族が情報にアクセスできる環境を作ったり、相続対象者をリストアップしていけば、段々と「誰にどれだけ相続したいか」と意思が芽生えてくることもあるでしょう。遺産の分割を遺言書に記しても良いですし、場合によっては生前贈与を視野に入れてみても良いタイミングです。

ご存知のとおり、自分が生きている間に財産を渡すことができるのが生前贈与という仕組みです。生前贈与は、希望した相手への相続を見届けることができる手続きです。年間に110万円以下であれば、受け取った人に贈与税が掛からない連年贈与といった手続きも可能です。贈与税が非課税になるパターンは複数ありますので、確実に自分の意思を反映させた相続に取り組みたい場合は、専門家の知恵を借りながら、生前贈与に取り組んでみても良いでしょう。

争続回避のため、生前にできる終活

今回ご紹介した、争続回避のため生前にできる終活3つのステップをまとめると、

1)まずは財産情報の一元化
2)相続の対象となる親族をリストアップ
3)生前贈与を視野に入れてみても◎

こちらの3つが相続対策における要点です。
意外と、あらゆる方にとって他人事ではない相続争い。
自分の終活にも、親の終活と向き合う際にも、参考にしてみてくださいね。

投稿者プロフィール

大和泰子
大和泰子
一般社団法人 包括あんしん協会代表理事
株式会社 WishLane 代表取締役

【資格】
終活アドバイザー
CFP®(ファイナンシャルプランナー)
デジタル遺品アドバイザー®
高齢者住まいアドバイザー

家族に恵まれなかった幼少時代の不安と孤独を突破し、今は3世代同居でにぎやかに生活中。
一生涯のライフプランをサポートする中、独りで誰にも看取られず亡くなる顧客を何人か見送った時、幼少の頃の孤独と重なり「孤独で苦しむ人を減らしたい」と思ったのがきっかけで、おひとり様サポートを行う「一般社団法人包括あんしん協会」を設立。
5000人の保険コンサルティングの実務経験から、保険の「資金準備」だけでは足りないと実感。「お金」「心・身体」「人」のトータルサポートを目指している。実際におひとり様が病気や介護になった時、また死亡時のサポート業務を行なっている。おひとり様の終活準備の必要性を啓もうする為セミナー講師としても活躍中。
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