50代からの終活と題して、シニアライフへの備えに役立つ情報をお届けしている連載ですが、今回の話題は「デジタル終活の始め方」について。写真や動画、パソコンソフトで作った資料、各種サービスのログイン情報、SNSのアカウント、アプリケーション、Emailの内容や連絡先まで・・・ これら身近に溢れている情報は「デジタル遺品」と呼ばれ、本人の死後、第三者が手続きすることが困難となる可能性をはらんでいます。
プライベートな情報の管理を見直すためにも、デジタルデータを整理するデジタル終活の時間を設けてみてはいかがでしょうか?
1)デジタル遺品予備軍を書き出してみよう
デジタルデータは基本的には家具や家電と違って、存在を手にとって確認することが難しいもの。よって、デジタル終活を始める場合はまず紙に自分が持っているデジタルデータの種類を書き出してみて取り組むことがよいでしょう。
【オフライン上のデジタルデータ】
・写真、動画
・電子書籍
・連絡先や住所録
・仕事使用した資料やデータ
【オンライン上のデジタルデータ】
・クラウド上にあるファイルデータ
・ログインが必要なSNS、ブログ、WEBサイトなどのサービス
・サーバー、ドメイン
・有料アプリ、サブスクリプションで利用しているサービス
・ネットショッピングやオークションの登録情報
・ネット証券(株やFX)、ネット銀行
これらの項目ごとに自身が利用しているデジタルデータを紙に思いつく限り書き出してみましょう。
大変な作業ではありますが、情報を整理する手がかりとしてこちらのリストアップしたメモが活躍します。
ログイン情報の確認を
利用しているデジタルデータが明らかになった次は、ログインが必要なサービスについて、ログイン情報を正確に把握できているか整理する作業を始めましょう。
なおこの時に、一枚の紙にすべてのログイン情報を書き出すのはNG。特にクレ
ジットカードやネット銀行のIDとパスワードが流失した場合、悪用されてしまうリスクが急上昇してしまいます。
暗証番号、ログイン情報はセキュリティ対策を
基本的に紙にログイン情報を書き残すことはあまり推奨できる方法ではありません。セキュリティー分野に長けた企業が提供する「ログイン情報管理サービス」などを利用して、安全にログイン情報を保管することが最も安全な方法です。
それでも「やっぱり自分は紙に書いておいたほうが安心で見やすいから・・・」という方は、IDとパスワードは別の場所に書いておく等、紛失した際に悪用されない注意を行いましょう。
2)残す、隠す、処分する整理へ
現状で使っているサービスについて把握できたあとは、それぞれのデータごとに「残す」「隠す」「処分する」のいずれかを判断していきましょう。
「家族や友人に残したい大切な情報」
「他人に見られたくないデータ」
「手続きしない限り自動更新される可能性が高いサービス」
といった優先順位の高いものから優先的に生前整理していきましょう。
特に他人に見られたくないデータ、業務上、守秘性の高い資料などがある場合は、専用のフォルダを作り、パスワードを掛けておくなどして、隠しておくと良いでしょう。
3)エンディングノートで伝達しよう
家族や友人、第三者に残したいデータがある場合も、あらかじめフォルダやクラウド上で情報をまとめておきましょう。
そして、エンディングノートに「〇〇資料の格納先・アクセスの仕方」を記して、伝達できる状況を整えておきましょう。
また、アプリやWEBサービスのうち自動更新されるサービスは「死後、解約手続きが必要なもの」として同じくエンディングノートに必要な項目を記しておきましょう。
プライバシーを守り、思い出を引き継ぐデジタル終活
目に見えないデジタルデータは、本人の死後に所在や取扱いに必要な情報がわからず難儀される可能性が少なくありません。エンディングノートを活用しやすしながら、判断力が明瞭な間に、可能な限りでデジタル終活を済ませておくと、残された家族や周りの人々の負担を軽減でき、思い出を無事に引き継いでもらえることでしょう。
手紙よりも電子メールやチャットで連絡を取ることが主流になった昨今、大切な方に亡くなったこと、生前の御礼を伝えてもらうためにも、連絡先のようなデジタルデータを取りまとめておくことの効果は大きなもの。
自分のプライバシーを守り、思い出を引き継いでもらうようなデジタル終活を検討してみてくださいね。
投稿者プロフィール
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一般社団法人 包括あんしん協会代表理事
株式会社 WishLane 代表取締役
【資格】
終活アドバイザー
CFP®(ファイナンシャルプランナー)
デジタル遺品アドバイザー®
高齢者住まいアドバイザー
家族に恵まれなかった幼少時代の不安と孤独を突破し、今は3世代同居でにぎやかに生活中。
一生涯のライフプランをサポートする中、独りで誰にも看取られず亡くなる顧客を何人か見送った時、幼少の頃の孤独と重なり「孤独で苦しむ人を減らしたい」と思ったのがきっかけで、おひとり様サポートを行う「一般社団法人包括あんしん協会」を設立。
5000人の保険コンサルティングの実務経験から、保険の「資金準備」だけでは足りないと実感。「お金」「心・身体」「人」のトータルサポートを目指している。実際におひとり様が病気や介護になった時、また死亡時のサポート業務を行なっている。おひとり様の終活準備の必要性を啓もうする為セミナー講師としても活躍中。
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