遺影は葬儀や祭壇で飾る、故人を撮影した写真です。これまでは亡くなった後に遺族が直近の写真から選定して、遺影用に加工することが通例でした。
しかし最近は終活の一環で、生前に遺影用の写真を撮影する方が増えてきています。この記事では遺影用の写真を用意したい理由や、選び方のポイント、新しく撮影する時の方法をご紹介します。
遺影を生前に用意するべき2つの理由
遺影を生前に用意することは、少々縁起が良くないと感じられる方もいます。
しかし、事前に納得のいく遺影を考えておくことは、自分自身の精神的なゆとりと遺族の負担の軽減につながるのです。
自分の理想の写真を用意できる
遺影は死後も遺族がずっと目にする姿です。そんな大切な写真を自分で決められることが、生前に遺影を用意する一番のメリットです。
終活の一環として、遺族が自分の姿を見た時に心穏やかになってほしい前向きな気持ちを、遺影に込める方が増えています。故人と過ごした思い出がよみがえるような遺影は、遺族にとって宝物になることでしょう。
近年は礼服をまとって正面を向いた定番の構図だけでなく、カラフルな写真や笑顔で明るい雰囲気の遺影が増えてきています。その人の個性と明るさ、優しさを写真として一生残しておけるのです。
葬儀の負担を減らせる
遺影は葬儀の準備といっしょに遺族が写真探しと加工を依頼する流れが一般的でした。葬儀の準備と並行している中、遺影に適した写真を探すことは困難です。
直近の写真がなく、10年以上経過しているような古い写真と無理やり合成した結果、違和感ある仕上がりになってしまうことがありました。事前に遺影の写真があれば、葬儀の準備で忙しい遺族の負担を減らすきっかけになります。
生前のうちに「この写真を遺影にしてほしい」とお願いしておけば、いざという時に家族も迷わず準備できるのです。
遺影のポーズや背景は自由に選べる
遺影と言えば、正面を向いた状態で礼服を合成した写真が定番でした。今ではフルカラーが定番ですが、昔は白黒写真でなんとなく近寄りがたい堅苦しい印象がありました。
しかし近年は個性を重視した遺影が注目されており、故人の望む形を反映した写真が使われています。遺影用に正面を向いて撮影するのではなく、お気に入りの服装と場所で撮影した、何気ない日常の思い出の風景が遺影に使われています。
現代の遺影は正面を向いた上半身の構図だけでなく、角度もポーズも自由です。たとえば思い出深い旅行先で撮影した写真も、加工によって遺影に活用できます。
首から上だけでなく、希望があれば上半身が入っている写真など、それぞれの個性を活かした遺影も人気があります。もちろんスマートフォンで撮影した日常写真も、一定の画素数を満たしていれば遺影用にサイズ変更や加工が可能です。
新しく撮影しなくとも、今まで撮影してきた写真でお気に入りのものがあれば、遺影用に使ってほしいと家族に伝えておいてみてはいかがでしょうか。
遺影の撮影時期は?
遺影に使われる写真は、亡くなる1~5年前が理想です。病気で闘病が長くなると、元気だった頃とくらべて痩せてしまっていたり、顔色がくすんでいたりする姿が気になる方がいます。
そこで、比較的最近で病気前の元気だった姿の写真を遺影に使うことが一般的です。しかし希望があれば、あえて若い頃の写真を遺影にすることも不可能ではありません。
遺影に使用したい写真が複数ある場合は、写真を葬儀でモニターに映し出したり、写真を並べたメモリアルコーナーを用意したりして、遺族や親戚と思い出を共有する方法もあります。無理に一枚の写真に絞らず、ご自身や家族にとって思い出深い写真はまとめて遺影の候補として残しておいてください。
遺影写真を生前に用意する方法
遺影写真はすでにある写真を加工するか、新しくプロに撮影を依頼する方法があります。
各方法の選び方のポイントと、気を付けたい点をご紹介します。
すでにある写真を遺影用に加工する
すでに撮影した過去の写真を使用したい場合は、サイズと綺麗さ(画素数)がポイントです。遺影のサイズは幅30cmの四つ切が一般的です。
大きく拡大してもきれいに見える画素数として、200万画素以上のものが理想です。最近のデジタルカメラやスマートフォンで撮影した写真であれば、基本的に引き伸ばしても問題なく使用できます。
あまり画質が良くない写真でも、どうしても遺影に使いたい希望があればプロによる習性で画素数を上げる方法があるため、そこまで画素数のことを気にせずにまずはお気に入りの写真を選びましょう。
ただし気を付けたいことが、光の加減で肌が暗い、表情がほとんどわからない写真は遺影に使えないこと。ポーズや背景がお気に入りでも人物の顔がわからなければ、遺影には使いづらいためできるだけ表情がはっきりした写真を遺影に使いましょう。
プロに撮影を依頼する
新しくプロに撮影してもらう方法も人気です。地元の写真館や撮影スタジオに依頼して、遺影用の写真を撮ってもらいましょう。
プロによる撮影は、メイクから加工までセットで行ってもらえるため、仕上がりがとても綺麗です。せっかくなら華やかなメイクと服装で遺影を撮影したい方におすすめです。
また、終活イベントやセミナーで、遺影用の撮影会を開催している葬儀社も増えてきました。専門家の知識のもと、プロのカメラマンが撮影するため綺麗な遺影用写真を撮影してもらえます。
体調が優れない方や、撮影スタジオが遠方など直接スタジオに行けない方は、デジタルカメラで上半身を撮影しましょう。撮影した写真は、明るさの調整などの加工をプロに依頼する方法があります。
おわりに
遺影写真を生前のうちに用意することは、お気に入りの写真を自分で選べることや、遺族に負担をかけないなどのメリットがあります。自分で撮影した写真をプロに加工してもらう方法があれば、撮影スタジオでメイクを施した本格的な遺影撮影もできます。
亡くなったあとに遺族が姿を見られるものが遺影です。自分らしく、明るい表情の遺影で、遺族に思い出と笑顔を残しましょう。
投稿者プロフィール
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一般社団法人 包括あんしん協会代表理事
株式会社 WishLane 代表取締役
【資格】
終活アドバイザー
CFP®(ファイナンシャルプランナー)
デジタル遺品アドバイザー®
高齢者住まいアドバイザー
家族に恵まれなかった幼少時代の不安と孤独を突破し、今は3世代同居でにぎやかに生活中。
一生涯のライフプランをサポートする中、独りで誰にも看取られず亡くなる顧客を何人か見送った時、幼少の頃の孤独と重なり「孤独で苦しむ人を減らしたい」と思ったのがきっかけで、おひとり様サポートを行う「一般社団法人包括あんしん協会」を設立。
5000人の保険コンサルティングの実務経験から、保険の「資金準備」だけでは足りないと実感。「お金」「心・身体」「人」のトータルサポートを目指している。実際におひとり様が病気や介護になった時、また死亡時のサポート業務を行なっている。おひとり様の終活準備の必要性を啓もうする為セミナー講師としても活躍中。
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