生き方の多様化が進んでいる中、亡くなった後に眠るお墓の形も多様化しています。特に女性の間で自分らしいお墓を建てたい方や、仲の良い友人同士で利用できるお墓を求める女性が年々増えてきています。
この記事では、今注目の女性専用墓とは何か、選ばれている理由をご紹介します。女性専用墓ならではのデメリットも合わせて解説していますので、理解を深めたい方はぜひ参考にしてください。
女性専用墓とは?
女性専用墓は、名前のとおり女性のみ埋葬されるお墓のことです。日本では明治から昭和まで、一族が一つのお墓に入る家族墓が中心でした。
私たちが子供の頃から目にしてきた、「〇〇家」と記されているお墓は一族を埋葬した家族墓です。
しかし近年、供養の形が多様化しており、家族墓以外のお墓を選ぶ方が増えてきていることをご存知ですか?女性の間で注目されているお墓が女性専用墓です。配偶者やその両親と同じお墓に入ることに抵抗がある方や、生涯未婚の女性に向けたお墓で、専用墓地や納骨堂が女性専用墓です。
女性専用墓が選ばれる理由
女性専用墓が選ばれている理由には、お墓の形や埋葬の方法の多様化があります。
古くから当たり前だった「家族で継承してきたお墓に入る」という概念は変わりつつあり、自分だけの女性専用墓を作る女性が増えてきているのです。
少子化・核家族化によってお墓が継承できない
女性専用墓が選ばれている理由の一つが、少子化や核家族化によってお墓の継承ができないことです。未婚の女性や結婚していても子供を設けなかったご夫婦が年々増えており、継承が必要ないお墓の需要が高まっています。
また、子供が実家から巣立っており、遠方で生活していることからお墓の管理が困難である環境も理由の一つです。女性専用墓にすることで、家族という形に縛られず遠方の子供たちに管理をお願いする必要がありません。
夫や姑とは別のお墓に入りたい
女性の社会進出が進んでおり、自分らしい生き方と終わり方が注目されていることも女性専用墓の需要が高まっている理由です。さまざまな事情から夫の死後に夫側の家族墓に入らないと決めた女性が、女性専用墓を選んでいます。
近年では夫を看取ったあとに、公的な手続きをとって離婚する死後離婚を行う人も増えてきました。このような社会的背景から、女性の選ぶ権利を尊重した選択の一つが女性専用墓という形になっています。
友達といっしょにお墓に入りたい
気の合う友人とお墓に入るために、女性専用墓を選ぶ方がいます。生涯未婚だった女性同士や仲間同士で女性専用墓に入りたいと希望する方が、女性専用墓を建てています。
お墓の形は個別で用意するだけでなく、納骨堂や共同墓地を利用する方法があります。一からお墓を建てなくとも、友人といっしょの納骨堂や永代供養つきの墓地を選ぶ女性が増えてきているのです。
女性専用墓のデメリット
自分らしいお墓を選びたい女性に人気の女性専用墓ですが、知っておきたいデメリットもあります。
メリットとデメリットを知ったうえで、自分に合うお墓の形を選びましょう。
家族や親族の同意が得られにくい
選択の自由が進んでいる中でも、未だにお墓は家族墓が定番で、社会的にはまだ家族が一つのお墓に入るイメージは根強くあります。その中で、女性専用墓に入る選択は配偶者や子供、親戚などから同意が得られない可能性があります。
もちろんお墓を選ぶ権利は自分自身にありますが、理解を得るためにも家族に一度相談することをおすすめします。お墓を管理する子供たちの負担の軽減になることなど、自分の希望だけでなく周りにとっても良いことがあると伝えましょう。
子供たちに供養の負担をかける可能性がある
家族墓以外のお墓が増えることで、子供たちにお墓参りの負担が増える可能性があります。また、合祀される墓地だと、後ほど家族が遺骨を取り出せないデメリットも考えられます。
子孫にとって遺骨が埋葬されているお墓は、両親や先祖に会える場所であり、家族が集まる場所という面があります。しかし、子供がいる中で家族墓に入ることは、父親や祖父母、母親とそれぞれにお参りをしなければいけません。
場合によっては、かえって子供たちに負担をかける可能性があるため、自分の選択を大事にすると同時に、ご縁が断ち切られるリスクも知っておきましょう。
女性専用墓の種類
女性専用墓はまだ少数ですが、そのお墓の種類はさまざまあります。女性専用墓の中でも、どの形の埋葬を選ぶか決めておきましょう。
永代供養つきの共同墓地
継承者がいらない永代供養つきのお墓です。共同のお墓は血縁関係がない者同士でも入ることができ、家族のお墓の継承を必要とせず、寺院や霊園に任せられます。
おひとりさまの中には、かねてからの友人や終活セミナーで知り合った方々といっしょに共同墓を利用する方がいます。孤独を感じずにゆっくりと眠ることができるでしょう。
共同墓はずっと個別で管理されるところもあれば、一定期間経過したあとに合祀されるところがあるため、事前に調べておきましょう。
個別のお墓
女性専用区画に自分だけのお墓を建てる方法です。こちらは永代供養ではないため、一定期間過ぎると墓石を撤去して合祀されるところが多いことが特徴。
自分用のお墓を形として残したい方に人気です。
納骨堂
女性専用の納骨堂は、都内を中心に人気のお墓です。最新の納骨堂は遺骨が参拝エリアまで自動で運ばれてくる搬送型があり、遺族の管理も楽です。
管理や運営まで女性スタッフまで行っており、女性の僧侶にお参りしてもらえるところもあります。
おわりに
女性専用墓は葬儀やお墓の多様化によって、注目を集めています。今後ますます需要が高まっていくことが予想されるため、興味のある方は早めに予約することをおすすめします。
ただし、女性専用墓ならではの気を付けたいデメリットがあります。自分の希望を大切にするだけでなく、家族とのつながりや残される子供たちの負担も考えたうえで納得のいくお墓選びを進めていきましょう。
投稿者プロフィール
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一般社団法人 包括あんしん協会代表理事
株式会社 WishLane 代表取締役
【資格】
終活アドバイザー
CFP®(ファイナンシャルプランナー)
デジタル遺品アドバイザー®
高齢者住まいアドバイザー
家族に恵まれなかった幼少時代の不安と孤独を突破し、今は3世代同居でにぎやかに生活中。
一生涯のライフプランをサポートする中、独りで誰にも看取られず亡くなる顧客を何人か見送った時、幼少の頃の孤独と重なり「孤独で苦しむ人を減らしたい」と思ったのがきっかけで、おひとり様サポートを行う「一般社団法人包括あんしん協会」を設立。
5000人の保険コンサルティングの実務経験から、保険の「資金準備」だけでは足りないと実感。「お金」「心・身体」「人」のトータルサポートを目指している。実際におひとり様が病気や介護になった時、また死亡時のサポート業務を行なっている。おひとり様の終活準備の必要性を啓もうする為セミナー講師としても活躍中。
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