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亡くなった人の住民税の支払いは必要?故人の税金のおさめ方とは?

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日本では毎年1月1日時点で各自治体から住民税が課税されます。しかし、故人になった場合その住民税は誰が支払うのか、支払う義務があるのか悩んでしまう方もいるのではないでしょうか?

亡くなった人の住民税の支払いは必要なのか、非課税になる条件とともにご説明します。

住民税とは?

住民税は住民票がある自治体から、毎年1月1日に課税されます。都道府県に向けた都道府県民税と市区町村に向けた市区町村民税があります。

東京都では都民税、区民税に分けられ、住民税の金額は2種類あります。

1つは基本的に所得の一律10%が税金になる所得割と、所得に関係なく自治体ごとに設定されている課税額を支払う均等割があります。

住民税の支払いそのものは6月頃ですが、あくまでも対象になるのは1月1日時点の住民に対するものです。つまり6月以前に亡くなったとしても、1月1日時点で生存している場合は住民税の課税対象者となるのです。

住民税は相続人が継承する

住民税の支払いは、1月1日時点で生存していた住民は支払う義務があります。つまり1月2日以降に亡くなった方の住民税は、6月頃に支払う必要があるのです。

支払う人物として請求されるのは、故人の財産を相続した相続人です。相続人はプラスとマイナス両方の財産を引き継ぐことになります。

そのため、住民税という支払い義務がある税金も、相続した時点で納税義務が発生するため忘れないように手続きしましょう。

亡くなった人の市民税・県民税のおさめ方

故人の市民税、県民税などの住民税は、1月1日~12月31日までの所得で決まります。徴収方法は普通徴収、特別徴収の2種類があり、それぞれおさめ方が違うため注意しましょう。

住民税を普通徴収でおさめる場合

故人が個人事業主だった場合は、6月頃に役所から送付される住民税の納付書を使って支払いましょう。

また退職していて次の就職先が決まっていない人も、普通徴収の対象になります。

ただし、注意したいのは相続人が複数いる場合です。誰が支払うのか決めておき、6月までには役所へ届け出をする必要があります。複数人いる場合の必要な手続きは、住所がある役所に問い合わせてみましょう。

納付書が送られてきていれば、支払いそのものは郵便局、コンビニ、銀行などで支払えます。

特別徴収でおさめる場合

故人が会社の給与から差し引かれる形で住民税を支払っていることを「特別徴収」と呼びます。

亡くなったために特別徴収で差し引かれなかった場合は、相続人の代表者に納税通知書が送られてきます。

ちなみに年金から住民税が差し引かれる特別徴収でも、その年に差し引かれていない分は普通徴収になり納税通知書が送付される形です。

住民税をおさめなかった場合は、延滞税が発生する可能性があります。住民税の金額だけでなく、延滞したことによる税金がプラスで発生してしまうため放置しないよう注意しましょう。

特に複数人の相続人がいると、誰が支払うか早めに決めないと納税通知書が届いたまま、時間が過ぎてしまうケースがあります。気づいたときには延滞税が高額になっていたという事態を避けるため、相続に関する話し合いは早めに決めることが大切です。

また、通知書が送られてきた時点で期限を確認し、期限内に支払えるように故人の住所とは違うところに住んでいる相続人の場合は、郵便物の住所変更なども大切です。

亡くなった人の住民税が非課税になる条件

その年に亡くなった故人の住民税が、非課税になるケースがあります。

それは遺産相続を放棄するか、限定承認をする方法です。

遺産相続を放棄した場合

遺産の相続を放棄すると、故人の現金や貯金などのあらゆる資産を継承できませんが、その代わりに借金も引き継ぐ必要がありません。住民税などの税金も対象になるため、遺産相続を放棄した場合は支払い義務が発生しないのです。

限定承認の手続きをした場合

遺産相続の中でも、限定承認の手続きをした場合は改めて住民税を支払わずに済む可能性があります。

限定承認は相続人が故人の借金などのマイナスの財産を相続財産の範囲内で、支払ったり受け継いだりする仕組みです。

つまり、故人にプラスの財産があればそこからマイナスの財産を清算し、残った財産があれば引き継ぐという方法です。故人の財産から住民税を支払う形になるため、新しく支払う必要がありません。

ただし限定承認は故人が亡くなり、自分自身が相続人だとわかってから3か月以内という条件があります。

申し立てを行わないままだと、限定承認の手続きをしたくてもできないため早めに申し込みましょう。また相続人が全員で申し立てる必要があるため、相続人同士で話がまとまらないと手続きができない可能性もあります。

申し立てから細かい手続きが終わるまで、1~2年の期間がかかることもあるため、早めに遺産を受け取りたい人は注意しましょう。

まとめ

亡くなった方の住民税は、亡くなった年のものは相続人が支払う義務があります。6月頃に届いた住民税の納付通知書をもとに、期限内にしっかりと支払いましょう。

ただし、遺産の相続放棄をした場合や限定承認の申し立てをした際には、住民税の支払いが不要になるケースもあります。しかし、故人の遺産の状況によって、必ずしも遺産を放棄した方がいいとも限りません。

そこで遺産についてわからないことがあれば、家族間だけでなく市区町村の役所や弁護士に相談してみましょう。

投稿者プロフィール

大和泰子
大和泰子
一般社団法人 包括あんしん協会代表理事
株式会社 WishLane 代表取締役

【資格】
終活アドバイザー
CFP®(ファイナンシャルプランナー)
デジタル遺品アドバイザー®
高齢者住まいアドバイザー

家族に恵まれなかった幼少時代の不安と孤独を突破し、今は3世代同居でにぎやかに生活中。
一生涯のライフプランをサポートする中、独りで誰にも看取られず亡くなる顧客を何人か見送った時、幼少の頃の孤独と重なり「孤独で苦しむ人を減らしたい」と思ったのがきっかけで、おひとり様サポートを行う「一般社団法人包括あんしん協会」を設立。
5000人の保険コンサルティングの実務経験から、保険の「資金準備」だけでは足りないと実感。「お金」「心・身体」「人」のトータルサポートを目指している。実際におひとり様が病気や介護になった時、また死亡時のサポート業務を行なっている。おひとり様の終活準備の必要性を啓もうする為セミナー講師としても活躍中。
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