親が亡くなったときや、施設へ入居したあとに実家をどうするのか決めていますか?実家の管理の難しさや、相続税などの問題から、実家を売却する方も多くいます。
実家を売る際は思い出の詰まった物や、建物を安全に手放すため、慎重に進めていきましょう。この記事では実家を売るまでの流れと、売却時の注意点をご紹介します。実家の売却を検討されている方はぜひ参考にしてはいかがでしょうか。
実家の売却までの流れ
実家の売却の流れは、相続人や相続の状況によって異なります。しかし、基本的な流れは同じですので、どのような手順で進めればいいのか把握しておくことをおすすめします。
実家売却の大まかな流れを見ていきましょう。
相続手続きをはじめる
実家の売却は、まず相続財産の確定からはじめましょう。遺言の確認の他に、家の所有者の名義変更などの手続きが必要です。相続人が複数人いる場合は、相続の分割協議なども決める必要があります。
時間に余裕をもって早めに相談していきましょう。場合によっては遺言書が残されている可能性があります。遺言書は付き合いがあった弁護士や税理士に聞いてみることをおすすめします。
公正証書遺言を作成していれば、すぐに遺言書を見つけられます。相続人が照会すれば、遺言書の有無を検索システムによって確認できます。
公正証書遺言がなくても、手書きの自筆証書遺言が実家に残されているかもしれません。金庫や寝室、お仏壇など、遺言書が残されていそうな場所を探しましょう。自筆証書遺言の場合、開封は家庭裁判所で開封を行わないと無効になりますので注意が必要です。
名義変更する
実家を売るタイミングは、相続人へ名義変更を行ってからになります。相続した実家を売却する前に、所有権移転登記を済ませておくと売却はスムーズです。
相続不動産を登記変更する義務は今のところありませんが、2024年4月から義務化されます。また、相続登記していない場合、誰が不動産の権利があるのかわからない状態では、相続人間で揉めたり、相続を先代まで遡って精算する問題が発生してしまいます。
そのため、所有者を確定するように所有権移転登記を行いましょう。
遺品整理や仏壇の引っ越し
売却前に実家にある荷物やお仏壇、お墓をどうするか考えましょう。荷物が少なければ個人で片づけができますが、家具や家電、物などが多い一軒家の場合は、プロの力を借りることをおすすめします。
不用品回収業者や、遺品整理専門業者に依頼しましょう。また、お仏壇は僧侶に依頼して魂抜きをしてもらう宗派が多いです。
その後今暮らしているお仏壇に魂入れをするか、新しくお仏壇を用意するか、引っ越し方法を決めます。
不動産会社に査定を依頼
実家が片付いたら、いよいよ不動産会社に査定を依頼しましょう。不動産は家の中に荷物がない状態で売却することが基本です。実家が遠方の場合は、現地に毎回出向く手間があるため、複数の不動産会社での査定をおすすめします。
不動産の相場を把握することが出来ます。
また、不動産会社によって得意な分野が違うので、査定の価格に差が出ます。
高い価格が良いとは限りません。価格の差や、条件、価格の根拠を必ず確認しましょう。
不動産会社と媒介契約締結と売り出し
不動産会社と媒介契約を締結したら、実家を売りに出します。売却において、近場であれば内見の際に家主が立ち会うケースもありますが、不動産会社に任せることも可能です。
不動産の売却は、スムーズに進んだとしても数か月の時間がかかります。相続で実家を売却したい場合は、すみやかに名義変更と売却準備を進めておきましょう。
実家を売却する際の注意点
実家を売却するときは、次の点に注意しましょう。
- 複数の業者に査定してもらう
- 遺言書を確認する
- 兄弟とのトラブルに注意する
- 内見時の印象を良くする
不動産会社によって査定額は異なります。複数の不動産業者に相談してみましょう。
その中で、意向を汲んで対応してくれ丁寧だったところや、売却価格の根拠を提示してくれた会社を選ぶことが大切です。また、相続人が複数いる場合は、売却の許可を得ることや、売却額の分配の割合を決めるなど、事前に話し合ってお互い納得のうえ手続きを進めましょう。
実家が近ければこまめに掃除をするなど、住みやすい印象を持ってもらえるように内見に来たお客様への対応も意識したいポイントです。
実家の売却を成功させる2つのコツ
実家の売却を成功させるには、相場をしっかり知ることと、物件の魅力を把握することがポイントです。適正な相場を知るには、複数の不動産会社の見積りが重要です。
また、過去に同じエリアでどのような物件が売却されてきたか、いくらで売れているかなどの不動産情報も参考になります。
特に実家が遠方だと直接足を運べない分、面倒で相場や不動産会社を慎重に確認せず売却してしまう方がいます。しかし、思い出の詰まった大切な実家だからこそ、納得のいく形で売却したいものです。
きちんと相場を知ったうえで、信頼できる不動産会社に依頼しましょう。
物件の立地や環境などおすすめポイントを伝えておくと、買い手にアピールできます。たとえば駅から徒歩10分以内の好立地や、リフォームしていて耐震性が高いといった物件の良さを不動産会社に伝えましょう。
デメリットだと思っている事が、買い手によってはアピールポイントへ転換できることもあります。周りに木々が茂っていて視界が悪い環境なら、木が目隠しになってプライバシーを守れるといったアピール方法があります。
まとめ
実家の売却は思い出が詰まった物件を形として残せるうえ、必要な人に受け継げるところが魅力です。不動産は売れやすい物件を優先して、需要が多くない地方の一軒家の売却に力を入れていないところもあります。
地方の実家を売るなら信頼できる不動産会社を選びましょう。また、売る前に名義変更や片づけなど、あらかじめ準備が必要な項目があるため早めの準備が大切です。
投稿者プロフィール
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一般社団法人 包括あんしん協会代表理事
株式会社 WishLane 代表取締役
【資格】
終活アドバイザー
CFP®(ファイナンシャルプランナー)
デジタル遺品アドバイザー®
高齢者住まいアドバイザー
家族に恵まれなかった幼少時代の不安と孤独を突破し、今は3世代同居でにぎやかに生活中。
一生涯のライフプランをサポートする中、独りで誰にも看取られず亡くなる顧客を何人か見送った時、幼少の頃の孤独と重なり「孤独で苦しむ人を減らしたい」と思ったのがきっかけで、おひとり様サポートを行う「一般社団法人包括あんしん協会」を設立。
5000人の保険コンサルティングの実務経験から、保険の「資金準備」だけでは足りないと実感。「お金」「心・身体」「人」のトータルサポートを目指している。実際におひとり様が病気や介護になった時、また死亡時のサポート業務を行なっている。おひとり様の終活準備の必要性を啓もうする為セミナー講師としても活躍中。
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