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ご存知ですか?ご遺体ホテルについて

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突然ですが「遺体ホテル」という言葉を耳にしたことはありますか?

従来、葬儀には故人のご逝去から短くても1日〜2日程度の日数を要します。そして、その間、ご遺体はどこかに安置しておくことが必要です。

日本で昔ながらの葬儀では、自宅の一室に故人を連れて帰って安置することが一般的でしたが、現代ではさまざまな理由によりご自宅に連れて帰ることが難しいケースも増えています。そして、このような事情を踏まえて新しく生まれたのが、遺体ホテルというサービスです。

 

ホテルという呼び方が適切かどうかと異論もあるようですが、管理された環境下で安心してご遺体を預けられる遺体ホテルの利用を希望するご家族も増加しています。

 

遺体ホテルが建設される背景

 

ここで、遺体ホテルの建設が増えつつある背景について見てみましょう。「遺体ホテルの建設へ住民から反対の声」というニュースのトピックスによって、遺体ホテルの名前を耳にしたという方もいらっしゃるのではないでしょうか? 

 

「死」を禁忌とする日本の文化、日本人の死生観の下では、遺体が安置される遺体ホテルが忌み嫌われるような住民の反響は、自然なものかもしれませんね。しかし、社会からの声を聞いて遺体ホテルの建設が増えている背景には「多死社会によって、火葬場が足りない」「葬儀場がいっぱいで、すぐに葬儀へ移すことができない」「核家族、おひとりさま世帯の増加によってミニマムな自宅が主流となり、ご遺体の安置場所が確保できない」「病院や施設で逝去後、ご遺体の安置場所がない」

 

このように、自宅でご遺体を安置することが困難なため、遺体ホテルのように安心して故人のご遺体を安置してもらえるサービスを求める声が徐々に高まっているということです。

 

遺体ホテルを利用してよかったという声

ここからは、「遺体ホテルを利用して助かった」という方のケースを見ていきましょう。

 

1)故人の身体の状態を保ちやすい

 

遺体ホテルを利用してよかった、助かったと思われる理由として、まず挙げられるのは「ご遺体の管理」についてでしょう。

 

ご遺体ホテルでは、館内の温度や湿度などの環境が一定条件に保たれているため、遺体保全の観点から見て安心してご遺体を預けられることが特徴です。

 

近年では高齢多死化によって、とくに都市部では火葬場の数が足りず、火葬をするまでに1週間ほど火葬を待機するケースも珍しくありません。火葬までの間になるべく故人のお身体の変化を防いで保管するために、専門的に用意された環境とプロの管理の下で遺体を管理してもらえることが、ご想像のとおり遺体ホテルが選ばれるもっとも大きな理由の一つです。

 

2)ゆっくりお別れの時間を過ごすことができた

 

家族や親しい友人を亡くしたご遺族から「葬式が忙しすぎた」「もっと一緒にいられる最後の時間を大事にしたかった」と後悔の声が寄せられることが、しばしばございます。確かに葬儀には決まり事が多く、また日本の場合は遺族が参列者をもてなす役割も大きいため、家族を亡くした遺族は葬儀が終わるまでの間に決めること、やることに追われる数日間が続きます。

 

多忙な時間を過ごすことによって悲しみを和らげられる、気を紛らわすことができると肯定的に考える意見がある一方で、故人と過ごす最後の時間を大切にできなかった後悔を抱く方もいらっしゃいます。

 

その点、遺族の希望に合わせて安置する期間を決められる遺体ホテルの場合、ご遺体と一緒に過ごす時間を一般的な葬儀よりも長めに設定できるため、故人とゆっくりお別れすることができたとポジティブな感想が寄せられています。

 

3)ホテル葬で遺族の負担を軽減できた

 

遺体ホテルには、葬儀場を併設している施設もあるため、安置〜お通夜〜葬儀を同じ場所で実施できる「ホテル葬」の形も生まれつつあります。本来、安置している場所から葬儀所、火葬場と移動が多い葬儀ですが、ホテル葬の場合は移動の負担を軽減できるメリットも挙げられます。

 

遺体ホテルを利用する際の懸念点

 

ここまでのように、遺体ホテルを利用するメリットが挙げられる一方で、まだまだ新しいサービスに属する遺体ホテルを利用することに対して、懸念される問題についても確認していきましょう。

 

1)安置費用が高額になるケース

遺体ホテルの利用には日額で利用料が発生する場合が一般的です。そして、専門施設を利用するため、自宅でご遺体を安置する場合と比較して、遺体ホテルを利用する場合は費用負担が増すことがほとんどでしょう。遺体ホテルの相場は日額数千円〜1万円程度ですが、自宅安置と比べても費用が高額になる可能性を加味しておきましょう。

 

2)面会に制限がある可能性

 

ほとんどの遺体ホテルでは、ご遺体との面会時間に制限時間が設定されています。さらに、施設によっては面会の際に予約が必要なところもございます。なお、面会の際にも「お線香やローソクなど火の使用は禁止」のように面会条件が決まっている場合もありますので、費用面に合わせて面会のルールについてもあらかじめ確認しておきたいところです。

 

3)複数のご遺体が一室で保管されている場合も 

「ホテル」という名前を冠する施設であっても、必ずしもご遺体を安置する部屋が個室に区切られているとは限りません。一室で複数のご遺体を預かっている施設もありますので、このような環境についても確認しておきたいところです。

 

さいごに

今回のコラムでは、認知度が徐々に増えつつある遺体ホテルについて、概要と良い点・懸念点をお伝えしてまいりました。そして、お墓や葬儀と同様に遺体ホテルは遺された方にとって接点や影響力が大きい存在の一つです。家族がいる方も、おひとりさま終活を進めている方にとっても、葬儀までの遺体の安置と費用については関係者の方と共に話し合っておくことが望ましいですね。

 

投稿者プロフィール

大和泰子
大和泰子
一般社団法人 包括あんしん協会代表理事
株式会社 WishLane 代表取締役

【資格】
終活アドバイザー
CFP®(ファイナンシャルプランナー)
デジタル遺品アドバイザー®
高齢者住まいアドバイザー

家族に恵まれなかった幼少時代の不安と孤独を突破し、今は3世代同居でにぎやかに生活中。
一生涯のライフプランをサポートする中、独りで誰にも看取られず亡くなる顧客を何人か見送った時、幼少の頃の孤独と重なり「孤独で苦しむ人を減らしたい」と思ったのがきっかけで、おひとり様サポートを行う「一般社団法人包括あんしん協会」を設立。
5000人の保険コンサルティングの実務経験から、保険の「資金準備」だけでは足りないと実感。「お金」「心・身体」「人」のトータルサポートを目指している。実際におひとり様が病気や介護になった時、また死亡時のサポート業務を行なっている。おひとり様の終活準備の必要性を啓もうする為セミナー講師としても活躍中。
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